• "弘済院"(/)
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  1. 大阪市議会 2017-03-01
    03月01日-03号


    取得元: 大阪市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-25
    平成29年第1回定例会(平成29年2・3月)◯大阪市会(定例会)会議録(平成29年3月1日)    ◯議事日程    平成29年3月1日午前10時開議第1 議案第50号 平成29年度大阪市一般会計予算第2 議案第51号 平成29年度大阪市食肉市場事業会計予算第3 議案第52号 平成29年度大阪市駐車場事業会計予算第4 議案第53号 平成29年度大阪市母子父子寡婦福祉貸付資金会計予算第5 議案第54号 平成29年度大阪市国民健康保険事業会計予算第6 議案第55号 平成29年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第7 議案第56号 平成29年度大阪市介護保険事業会計予算第8 議案第57号 平成29年度大阪市後期高齢者医療事業会計予算第9 議案第58号 平成29年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第10 議案第59号 平成29年度大阪市港営事業会計予算第11 議案第60号 平成29年度大阪市下水道事業会計予算第12 議案第61号 平成29年度大阪市自動車運送事業会計予算第13 議案第62号 平成29年度大阪市高速鉄道事業会計予算第14 議案第63号 平成29年度大阪市水道事業会計予算第15 議案第64号 平成29年度大阪市工業用水道事業会計予算第16 議案第65号 平成29年度大阪市公債費会計予算第17 議案第66号 平成29年度大阪市西町外16財産区予算第18 議案第67号 大阪府・大阪市特別区設置協議会の設置に関する協議について第19 議案第68号 大阪市職員定数条例の一部を改正する条例案第20 議案第69号 職員の再任用に関する条例等の一部を改正する条例案第21 議案第70号 大阪市職員基本条例の一部を改正する条例案第22 議案第71号 職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例案第23 議案第72号 職員の自己啓発等休業に関する条例の一部を改正する条例案第24 議案第73号 職員の配偶者同行休業に関する条例の一部を改正する条例案第25 議案第74号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案第26 議案第75号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案第27 議案第76号 職員の期末手当及び勤勉手当に関する条例の一部を改正する条例案第28 議案第77号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案第29 議案第78号 技能職員等の退職手当の特例に関する条例の一部を改正する条例案第30 議案第79号 大阪市職員互助会条例の一部を改正する条例案第31 議案第80号 大阪市客引き行為等の適正化に関する条例の一部を改正する条例案第32 議案第81号 大阪市財産条例等の一部を改正する条例案第33 議案第82号 包括外部監査契約の締結について第34 議案第83号 教育職員の給与等の特例に関する条例を廃止する条例案第35 議案第84号 教育委員会所管の学校の教員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案第36 議案第85号 教育職員の高齢者部分休業に関する条例の一部を改正する条例案第37 議案第86号 大阪市立学校活性化条例の一部を改正する条例案第38 議案第87号 大阪市学校給食の実施及び学校給食費の管理に関する条例の一部を改正する条例案第39 議案第88号 大阪市教育振興基本計画の変更について第40 議案第89号 大阪市立児童福祉施設条例の一部を改正する条例案第41 議案第90号 大阪市障害者スポーツセンター条例の一部を改正する条例案第42 議案第91号 大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第43 議案第92号 大阪市立社会福祉センター条例の一部を改正する条例案第44 議案第93号 大阪市社会福祉研修・情報センター条例の一部を改正する条例案第45 議案第94号 地方独立行政法人大阪市民病院機構定款の一部変更について第46 議案第95号 大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生活環境の清潔保持に関する条例の一部を改正する条例案第47 議案第96号 大阪市手数料条例の一部を改正する条例案第48 議案第97号 大阪市都市景観条例の一部を改正する条例案第49 議案第98号 大阪市建築基準法施行条例の一部を改正する条例案第50 議案第99号 大阪府道高速大阪池田線等に関する事業の変更の同意について第51 議案第100号 大阪市公園条例の一部を改正する条例案第52 議案第101号 大阪市港営事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案    ---------------------------------◯出席議員86人   1番    こはら孝志君   2番    前田和彦君   3番    福田武洋君   4番    藤岡寛和君   5番    杉山幹人君   6番    宮脇 希君   7番    岡田妥知君   8番    武 直樹君   9番    岸本 栄君   10番    梅園 周君   11番    永田典子君   12番    永井広幸君   13番    則清ナヲミ君   14番    山本智子君   15番    佐々木りえ君   16番    高見 亮君   17番    金子恵美君   18番    徳田 勝君   19番    奥野康俊君   20番    不破忠幸君   21番    川嶋広稔君   22番    太田晶也君   23番    荒木 肇君   24番    山本長助君   25番    岩崎けんた君   26番    小川陽太君   27番    井上 浩君   28番    尾上康雄君   29番    寺戸月美君   30番    永井啓介君   31番    森山よしひさ君   32番    西川ひろじ君   33番    北野妙子君   34番    有本純子君   35番    伊藤良夏君   36番    市位謙太君   37番    守島 正君   38番    飯田哲史君   39番    今井アツシ君   40番    藤田あきら君   41番    竹下 隆君   42番    上田智隆君   43番    土岐恭生君   44番    西崎照明君   45番    島田まり君   46番    西 徳人君   47番    山田正和君   48番    佐々木哲夫君   49番    辻 義隆君   50番    八尾 進君   51番    明石直樹君   52番    杉田忠裕君   53番    高山 仁君   54番    金沢一博君   55番    前田修身君   56番    小笹正博君   57番    杉村幸太郎君   58番    大橋一隆君   59番    ホンダリエ君   60番    丹野壮治君   61番    出雲輝英君   62番    岡崎 太君   63番    田辺信広君   64番    片山一歩君   65番    井戸正利君   66番    高野伸生君   67番    木下吉信君   68番    足高將司君   69番    多賀谷俊史君   70番    荒木幹男君   71番    床田正勝君   72番    黒田當士君   73番    加藤仁子君   74番    江川 繁君   75番    瀬戸一正君   76番    山中智子君   77番    新田 孝君   78番    改発康秀君   79番    大内啓治君   80番    辻 淳子君   81番    美延映夫君   82番    東 貴之君   83番    木下 誠君   84番    山下昌彦君   85番    広田和美君   86番    角谷庄一君     ---------------------------------◯職務のため出席した事務局職員               市会事務局長           藤原正樹               議事担当課長           巽 功一               調整担当課長           西 正道               議事担当係長           西山 清    ---------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員               市長               吉村洋文               副市長              田中清剛               副市長              中尾寛志               副市長              鍵田 剛               西区長              高野 賢               住吉区長             吉田康人               生野区長             清野善剛               副首都推進局長          手向健二               市政改革室長           羽東良紘               ICT戦略室長          田畑龍生               人事室長             中村一男               政策企画室長           黒住兼久               危機管理監            東 信作               経済戦略局長           井上雅之               総務局長             上田隆昭               市民局長             谷川友彦               財政局長             稲森隆司               契約管財局長           松元基泰               都市計画局長           川田 均               福祉局長             諫山保次郎               健康局長             甲田伸一               こども青少年局長         内本美奈子               環境局長             北辻卓也               都市整備局長           國松弘一               建設局長             永井文博               港湾局長             藪内 弘               会計管理者兼会計室長       東山 潔               消防局長             藤井茂樹               交通局長             塩谷智弘               水道局長             玉井得雄               教育委員会教育長         山本晋次               行政委員会事務局長        小川英明    --------------------------------- △開議      平成29年3月1日午前10時開議 ○議長(木下誠君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を岩崎けんた君、武直樹君の御両君にお願いいたします。 ○議長(木下誠君) これより議事に入ります。 ○議長(木下誠君) 日程第1、議案第50号、平成29年度大阪市一般会計予算ないし日程第52、議案第101号、大阪市港営事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案を一括して議題といたします。 ○議長(木下誠君) これより質疑に入ります。 大橋一隆君の質疑を許します。 58番大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 私は、大阪維新の会大阪市会議員団を代表いたしまして、平成29年度大阪市予算案並びに関係諸案件について質問いたします。 まず最初に、予算編成に当たっての考え方についてお伺いいたします。 市長は、就任以来、「子どもの教育・医療 無償都市大阪」を目指し、特に子供の教育を未来への投資と捉え、就任1年目においては5歳児の教育無償化を国に先駆けて実施し、全ての子供がひとしく教育を受けられる環境づくりを進めていますが、29年度においてはさらに4歳児への教育無償化を予算に織り込むなど、さらなる市民サービスの拡充を進められており、大いに評価しております。 しかしながら、一方で先日公表された今後の財政収支概算では、29年度当初予算の新規・拡充事業やこれまで見込めていなかった公共施設等の維持管理経費の一定額の増を織り込んだことで、1年前に公表された前回版と比較して単年度収支不足は悪化し、本市の財政は、依然として厳しい状況にあると認識しております。 そのような状況の中、一層選択と集中を全市的に進め、「市民サービスの拡充」と「大阪の改革と成長」という方向性を基本に29年度予算を編成されたとのことですが、予算を編成するに当たっては財政規律と政策推進のバランスが非常に重要で、市長も大変苦慮されたと考えています。 そこで、市長にお尋ねしますが、29年度予算編成に当たって、どういうところに重点を置いて編成されたのかお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、予算編成についてですけれども、29年度の予算編成に当たっては、それぞれの局のマイナスシーリングの取り組み、それから区長・局長マネジメントのもとでのPDCAサイクルを徹底すると、さらなる自律的な改革に取り組むということで、まずは歳出の削減、歳入の確保に努めました。 29年度予算では、退職手当の減のほか、職員数の削減によります人件費の減、それから、公債費の減がありますものの、一方で障害者自立給付や後期高齢者の医療給付、それから介護給付など、義務的な経費が増加している傾向にあります。 一方で、4歳児からの幼児教育の無償化や待機児童を含む利用保留児童の解消を図るために、民間保育所の整備を進めるなど、最重点の施策であります子育て・教育環境に集中的に取り組むということもやりました。また、大阪の成長が大切でありますので、大阪の成長戦略のための取り組み、都市インフラの充実であったり、市民の安全・安心を守るための公共施設の維持管理などにも力を入れまして、限られた財源をこれらの施策・事業に集中することにしました。 結果、補填財源に依拠せざるを得ない通常収支不足額というのは以前より悪化しましたが、29年度においても約1,000億円の借金の削減を図るなど、市債の残高の減というのは堅持しながらも、試算期間半ばには収支が一定改善される傾向は維持できる見込みであるということも確認した上で、新たな施策・事業にも取り組めるということを判断して予算編成を行ったところであります。 今後とも、通常収支の均衡に向けて、引き続き市政改革には徹底的に取り組むと、その一方で未利用地のさらなる売却を進めるなど、歳入の確保も進めていきます。全市的な優先順位、政策の優先順位を行って事業の選択と集中を進めることで、補填財源に依存することなく、収入の範囲内で予算を組むということを原則にしながら、将来にわたって活気ある大阪を実現するということが何より大事だと考えておりますので、そこに注力をし、市民サービスの拡充、大阪の成長のための政策推進、そこを着実に進めていきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、子育て・教育環境の充実について何点か質問いたします。 平成29年度予算案においては、こども青少年局としての関連予算が初めて2,000億円を超えることとなりました。予算が増額された子供の貧困対策や待機児童対策など、どれもが本市にとって優先させる事項ですが、現状の局の業務体制では、それらの施策の着実な実施や数値目標の達成ができるのか心配しており、来年度におけるこども青少年局の業務体制を強化すべきであると考えています。 そこで、まず待機児童対策についてお聞きいたします。 待機児童対策に関しては、昨年、市長が立ち上げた待機児童解消特別チームの議論を踏まえ、市役所本庁舎や区役所庁舎を含む市有財産の活用や保育用地提供者への固定資産税等相当額の補助など、これまでにない思い切った予算案を提示され、整備目標とする保育所等の入所枠は、今年度に対し3倍近い6,053人分を確保することとなっています。 国においては、待機児童解消加速化プランにより関連施策を推進してきましたが、全国的な進捗状況を踏まえ、先日、安倍総理が平成30年3月末での待機児童解消は困難との見解を示したところです。 そこで、市長の待機児童解消に向けた取り組みと推進体制について、決意をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) この待機児童対策というのは大阪にとって喫緊の課題だというふうに認識しています。私は、これまでも現役世代への投資ということでさまざまな施策を打ち出してきました。その積み重ねもありまして、関連施策を主に所管しますこども青少年局における平成29年度の予算においては、初めて2,000億円を上回るという規模になっています。 来年度予算案で打ち出しています、こ青局の新規・拡充を含めたさまざまな施策、これを強力に推進していくためには、その取り組みを着実に実行できる組織体制、これを構築することが大事だと思っています。 まず、待機児童対策についてですが、これまでにない規模の民間保育所の整備数を目標として掲げています。保育人材確保対策事業の拡充なども含めてあわせて考えますと、関連予算については今年度に比べまして100億円を超える増額となっています。これまでの既成の概念にとらわれていては大阪の待機児童は解消できないという発想で、今回の予算を編成いたしました。 平成30年4月の待機児童解消に向けてですが、市役所本庁舎であったり区役所の庁舎など、市有財産を使った小規模保育所事業の開設を進めます。それから、保育送迎バス事業の実施であったり、地域型の保育事業所における3歳児の連携支援事業の強化など、従来の方針を転換してでも、ありとあらゆる手段を使って、この待機児童対策については取り組んでいきたいと思っています。 新たな業務の集中しますこ青局において、これらの対策を確実に実行できる組織体制が必要になってきます。ですので、必要となるポストを設置したり、職員数をふやすといった増員を図って、体制を強化しています。 それにあわせまして、各区、大阪市横断的にやる必要があると思っていますので、関係局との連携を密にしながら、引き続き、昨年度設置しました待機児童解消特別チームにおいても取り組んでいき、鍵田副市長にも、その進捗の管理を担ってもらうというふうに指示しているところであります。 平成30年4月待機児童解消というのは、これまで目標に掲げてきました。この私自身のリーダーシップでぜひこれはやっていきたいと思っていますし、これを取り下げた段階で終了だと思います。待機児童解消は無理だと言われていますが、私自身は諦めることなく、この待機児童解消、平成30年4月ゼロというのを目標にしながら施策を実行していきます。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 待機児童対策にも多くの予算をつけていただいていますが、今年度の3倍の受け皿を実施するための執行体制は重要です。平成30年4月に目標が達成できないことがないように、年度途中でも何度も検証し、鍵田副市長のもと徹底管理し、必ず目標を達成することを強く要望しておきます。 次に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。 日本財団のレポートによりますと、子供の貧困を放置した場合の社会的損失は、進学や進路に差が出る中学校卒業時を推計の起点とし、現在15歳の子供が19歳から64歳までに得る生涯所得の合計額は2.9兆円減少し、税、社会保障の政府の財政負担は1.1兆円増加するとのことです。こうした経済的影響から、子供の貧困対策は社会全体で取り組むべき課題だと思います。 我が会派としても、子供の貧困対策に本気で取り組むため、「子どもの貧困対策プロジェクトチーム」を立ち上げ、他都市や民間の取り組みについても精力的に調査を行い、先進的な取り組みなどを参考にして7つの施策を提言として取りまとめ、市長へ提出いたしました。 今回の予算案では、平成29年度重点的に取り組む子供の貧困対策関連事業として、学習習慣の定着や居場所づくり、さらに、養育費の確保、高校中退者、社会的養護施設退所児童への支援などが明記されています。 市長は、この提言をどう受けとめておられるのでしょうか。さらに、市長は経済界や企業、大学等の協力についても呼びかけておられますが、今後、経済団体、企業や大学等教育機関と連携、協働を図り、子供を社会全体で支える仕組みをどのようにつくっていくのでしょうか。また、平成30年度の本格実施に向けた組織体制について、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 私自身は、大阪の子供への投資が大阪の成長につながるというふうに確信しています。ですので、そこに徹底的に投資していくということは、私が市長である限りやっていきたいと思っています。 子供が生まれ育った環境というのはあるんですが、それにできる限り、特に教育の面においては左右されないように貧困の連鎖を断ち切っていくと、一子供が自分の可能性を追求できる社会ということが私は理想の社会だと思っています。そこに一歩でも近づけていくのが行政、政治の役割であろうというふうに認識しています。これは、別に理想論を語っているだけじゃなくて、統計上、学術上も子供に投資することが将来の社会に対する大きな、社会保障の点から見ても大きなプラスになるということは出ているところであります。大阪においてもしっかりこれは取り組んでいきます。 大阪維新の会からの提言ですけれども、子供の居場所づくりであったり、ひとり親家庭や高校中退者への支援を初め、経済団体や企業、大学との連携、協働など、私自身の問題意識と共通する内容も非常に多いものでありました。子供の貧困の連鎖を断ち切るという理念においても同じであります。 大阪市において、経済界や大学にも積極的にかかわっていただいて、機運を盛り上げて、この子供の貧困については社会全体で解決していく機運を盛り上げていく、そして、その組織というか仕組みをつくっていくのが私自身の役割、それを推進していくのが私の役割だと思っています。これが大阪で成功すれば、全国にも波及して日本の国力を高めることに僕はつながってくると思っています。 来年度には、子供の貧困対策推進本部会議に経済界、それから大学から参加してもらうための準備を部局に指示しています。現に、私自身もこれは必要だというふうに思っていますので、直接、経済界、大学の関係者に、その要請を個別にしているところであります。 その上で、4月に公表予定でありますが、「子どもの生活に関する実態調査」の詳細な分析結果をもとにしまして、実効性のある事業を議論し、そして検討し、緊急に取り組む必要があるものについては早急に取り組んでいくということで進めていきたいと思っています。 子供の貧困対策を推進していくための組織体制についてですが、局長級の子どもの貧困対策推進室長を設置しまして、それから専任の部署を新設いたします。子供の教育、学習支援に向けてこども青少年局と教育委員会事務局とのこの両局の連携を図るということが重要だと思っておりますので、そこにはその部長を両局の兼務とするという組織体制の強化を図っていきます。これは役所ですので、実行して何ぼの世界ですから、組織をどうしていくのかということを常に意識しながら実行体制を整えていきます。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 実態調査の詳細な分析結果は4月に公表されるようですが、効果的に財源を活用して、本当に支援が必要な子供にきっちりと届くよう、スピード感を持って取り組んでいただきますようお願いいたします。 次に、幼児教育無償化、幼児教育・保育の充実についてお伺いいたします。 幼児教育無償化について、かねて実現を明言されていた4歳児までの対象の拡大に加え、11月の市会において、我が会派の金子議員の一般質問に対し、認可外保育施設の無償化についても、一定の基準を満たせば無償化の対象とするとの案が示されました。 今回の制度拡充により大阪の将来を担う全ての子供がひとしく教育を受けられる環境づくりがさらに前進するものと考えています。 幼児教育の無償化とあわせて、保育・幼児教育の質の向上が非常に重要であると考えており、4月に開設する保育・幼児教育センターについても非常に期待をしています。この間、市長は、質の向上に取り組む幅広い知見を持ったセンター所長とともに、実務経験豊かなアドバイザーの外部登用も行いたいとの意向でした。 そこで、改めて、センター所長、アドバイザー、そして保育・幼児教育センターについてのビジョンを市長にお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇)
    ◎市長(吉村洋文君) 幼児教育の大切さ、それから幼児教育の無償化については、今年度、5歳児の無償化を実施しました。現在まで大阪市独自の取り組みですが、今では国もこの幼児教育も含めた教育の無償化が大事じゃないかという議論に大きくシフトチェンジしてきています。大阪市はそれに先立って幼児教育の無償化を実践しているということで、さらにこの教育の重要性というのを大阪市から発信して、そして国もこれはぜひ実現してほしいというふうに思っています。 来年度については、この5歳児については4歳児までに拡大していきます。さらに、一定の基準を満たします認可外の保育施設につきましても、これは幼児教育の無償化の対象としていきます。 全ての子供がひとしく教育を受けられる環境づくりというのを、この幼児期から実行していくということが重要だと思っています。今は預ける場という認識が強いですけれども、幼児期は教育として位置づけるということが、大阪の力の向上につながり、国力の向上にもつながると確信しています。 保育・幼児教育センターですが、公私の別や幼稚園、保育所といった施設の別にかかわらないものにしたいと思っています。それは先ほど申し上げた理由から、これはさまざまな過去の経緯もあって、幼稚園、保育所それぞれの縦割りの管轄というのがあります。最終的には、やっぱり幼児教育ということで僕は統一させていくべきものだろうと思っています。もちろん親の事情、都合によって保育の観点を加味しながらですが、肝に置くべきは幼児教育というのを充実させていこうというのが大きな意思表示として示されるべきだというふうに思っています。 そんな中で、本市会にも上程しています大阪市教育振興基本計画の中でも、全ての基礎となる幼児教育の普及と質の向上というのを最初に位置づけました。この計画を実のあるものにしていくためにも、教職員の質の向上であったり幼児教育に関する研究といった保育・幼児教育センターの機能、これが重要になってくると思っています。 今回、センター所長を公募しまして、小学校の校長経験者であって、さらに教育センターにおいて教職員の研修、研究の企画立案も担ってこられた阪口正治氏に就任をお願いしています。また、保育・幼児教育に関する専門的見地からアドバイスをいただく、そういった専門家の方2人に特別参与として就任していただくということにしました。お一人は、長年、みずから主催します幼児教育においてそれぞれの年齢にふさわしい基礎教育のあり方を追求して実践しておられます久野泰可氏、もう一人は、大学において幼児教育の研究であったり幼稚園教諭、保育士の養成、現場での実践を通じて指導、助言もされて多くの実績があります吉岡眞知子氏にお願いしているところであります。 29年度には、新たに就任する先ほどの所長のもと、小学校以降の生活や学習も見据えて、特別参与からの専門的なアドバイスもいただいて今後の方向性を検討して、保育・幼児教育センターにおける研修、研究、それからパイロット園などにおける取り組みを幼児教育、幼児保育の場で、現実の場で実践していくということをやっていきたいと思っています。この保育・幼児教育センターが大阪市全体の幼児教育・保育の質の向上につながるようにしっかりと取り組んでいきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) センターにおける研修や就学前教育カリキュラムの改訂に当たり、保育所や認定こども園等における教育・保育について、より一層の充実を図っていただくよう要望しておきます。 次に、就学援助に係る入学準備金についてお伺いいたします。 就学援助の支給項目の一つである入学準備金の支給時期については、新聞報道がありました。それは、これまでの入学後の支給から、制服購入などで出費がかさむ入学前の支給に変更する自治体がふえているというものです。 本市では、入学準備金の支給についても、就学援助の支給項目の一つとして入学後に支給されているとお聞きしております。子供の貧困が問題化する中、入学前の支給について、本市においても検討していくべきではないかと考えますが、市長の御所見をお願いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 就学援助は、そもそも経済的な理由によって就学が困難と認められる児童・生徒の保護者に対する制度であります。この入学準備金は、就学援助の支給項目の一つでありますけれども、児童・生徒が小学校、中学校に入学する際のランドセル代であったり制服代であったりと、いわゆる固定的な費用に関する補助であります。その制度趣旨を考えても、できるだけ早期に支給することが望ましいというふうに考えています。 入学準備金を入学前に支給することについて、今後検討すべき課題はありますけれども、本市においても入学準備金の趣旨をしっかりと踏まえた上で、支給要件等の現行制度の範囲内で来年度早期に課題を整理して、できる限り入学前の支給が可能となるように取り組んでいきたいと思いますし、私自身、それを実行していきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、学力向上の取り組みについてお伺いいたします。 本市において、学力向上は喫緊の課題であり、抜本的な改善を図るためには、大胆な教育改革の推進が必要です。現行の教育振興基本計画において、改革の方向性を5点に整理し、新たな施策や取り組みが推進され、教育予算についても大幅な拡充がなされてきました。 改革の推進により、例えばカリキュラム改革やグローバル化改革において、学校教育におけるICTの活用や小学校からの英語教育など、一定の成果は出てきているものの、全国学力・学習状況調査の結果においては、依然、全国の平均正答率を下回っている状況にあります。また、継続して学力等に課題を有する学校が存在し、このような状況を打開するためには、これまでの取り組みの継続や新たな施策や取り組みを講じるだけでは課題解決は難しく、学力向上に向けた方向性をしっかりと定める必要があります。 総合教育会議において、市長との協議で教育振興基本計画の変更案がまとめられ、これらを改革の第2ステージと位置づけています。 そこで、教育委員会としては、学力の向上に向けてどのような方向性のもとで施策に取り組み、効果を上げようとしているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 現在お諮りをいたしております教育振興基本計画の変更案につきましては、平成25年3月に改訂をいたしました教育振興基本計画の改革の方向性を継承し、今後4年間の方向性を改革の第2ステージとして示したものでございます。 これまでの教育改革におきまして、学校の検証、改善サイクルの確立や校長経営戦略支援予算といった新たな仕組みや制度の構築に取り組んでまいりましたが、これらの教育制度の基盤を堅持しながら学校園現場への教育改革の浸透を図り、子供たちにじかに響く施策や教育を支える力の育成を図ることを通して、改革の成果を上げることを目標としております。複雑化、多様化します学校の諸課題に対応し、子供たちに必要な資質、能力を育成していくためには、学校が組織としての能力を高めるとともに、地域や関係機関の力も取り込みながら、いわゆる学校力を高めていく必要があると考えております。 教育委員会といたしましては、各学校の学校力の向上に有効な支援を行いますため、児童・生徒の実態を客観的、経年的に把握する仕組みの構築や、学校の検証、改善サイクルの確立を図りますとともに、特に学力等に継続して課題を有する学校に対しては、校長の学力向上へのプランの策定、実施に重点的な支援を行うことで、各学校が教育委員会や関係機関の施策を有効に活用し、学力向上を図る環境を整備してまいりたいと考えております。 さらに、学力等に継続して課題を有する学校の中から、大学、行政機関との連携や校長の裁量を最大限拡大することで学力向上に効果を上げる有効な取り組みを行うモデル校を選定し、総合的な学校力向上のための実践研究を深め、今後の教育施策の質的向上に活用してまいりたいと考えております。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 教育長の答弁で、学力を向上させるためには、児童・生徒のさまざまな課題に的確に対応するための学校力を高める必要があることは理解できます。しかし、幾ら今後4年間を見据えた教育振興基本計画を策定しても、その計画を全ての学校が理解して取り組まなければ机上の空論となります。また、学力向上に向けた施策については、教育委員会だけではなく、こども青少年局や分権型教育行政を担う区役所等が連携して進めることが不可欠です。 児童・生徒の学力向上には、教育委員会が中心となってしっかりと責任を持って取り組めるよう、推進体制の構築が必要です。全ての学校が教育振興基本計画に掲げた学力向上に関する目標を自校の目標として取り組み、その目標に応じた教育活動を保護者、市民に対して広く公表しなければならないと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、先ほど教育長の答弁にあった総合的な学校力の向上については、私自身も同じ認識でいます。 総合教育会議に市長も参加できるようになり、私も参加して議論していますが、そこで申し上げているのは、この教育総合会議で議論していることが、御前会議のように自分たちで理想論をしゃべって、それで気持ちよくなって終了というのが僕は最悪だと思っていますので、いかにそこで決めたことを現場の学校においてしっかり浸透させて、それを実行し、そしてそれを最終的な受益者である子供たちのところまで行き届かせるのかというのが、行政の役割だと思っています。これまでの教育改革においても、改革の方向性に沿って新たな取り組みを構築して進めてきましたが、いかに児童・生徒に届くようにするのか、学力向上に資するようにするのか、そういったところが僕にとっては一番重要な視点であります。 そういった中で施策をこれまで実行していますが、学校ごとの実情に応じて応用しやすい、活用しやすいような施策を進めていくということ、そこが大事だと思っていますし、学校力の向上、それによって促すことが必要だというふうに思っています。 児童・生徒の生き抜く力を身につけさせるための学力向上については、総がかりで取り組む課題であるという認識に立てば、学校にさまざまな支援の力、例えば民間事業者を活用した課外授業のような施策についても、今、かなり力を入れて進めているところであります。「子どもの生活に関する実態調査」の結果からしますと、授業以外での学習時間の確保というのが全国的に見て大阪は極めて少ないという結果も出ていますので、これが学力を上げる上での妨げになっている要因の一つでもありますから、そういったものをあらゆる方法で解消していくということが、学校を支え、真に支援を必要とする児童・生徒に届いていく仕組みになっていくというふうに思っています。 そのためには、教育委員会が個々の課題に対する支援を行っているというだけでは十分だと思っていません。学力の向上という成果に結びつけることができる効果的な施策になるように、区役所、関係局も含めて横断的に取り組めるようにしていくということが市長の役割だというふうに思っています。 その際のもちろん核になるのは、これは当然、教育委員会になるんですが、事務局の学力向上施策の総合的な企画調整を担う部門の機能の一層の強化を図りまして、そこを中心とした横断的な取り組みができるような、学力向上を初めとした学校力の向上に向けた環境の整備を充実させていくということをやっていきたいと思っています。 教育振興基本計画の変更案においては、学力向上について「心豊かに力強く生き抜き未来を切り拓くための学力・体力の向上」、これを最重要目標として定めています。その目標の達成に向けて、全市での共通の目標に、いわゆる客観的な数値を掲げて取り組むことで学校評価にそれをつなげるとともに、その目標に応じた教育活動を広く市民へ発信することができるように、教育委員会と連携して取り組んでいきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 市長、日本一の教育環境を目指して取り組みを進めていただきたいと思います。 次に、いじめ対策についてお伺いいたします。 大津市のいじめ自殺から5年目を迎えたことにより、さまざまな角度からの報道がなされたことは記憶に新しいと思います。吉村市長は、常々、安心・安全な学校づくりを進めるに当たっては、大阪市はいじめを絶対に許さないとの姿勢を強く示すことが大切であるとのメッセージを発信しておられます。 教育委員会としては、市長部局とともに平成27年8月、大阪市いじめ対策基本方針を策定されました。しかし、先日2月21日に公開されました第三者委員会の調査報告では、教育委員会の迅速な対応と関係機関との強く幅広い連携の必要性が求められています。具体的には、教育や心理、保育等の研究者や法曹関係者で子供の問題に詳しい第三者的な立場の者から構成される、市長もしくは教育委員会の附属機関としての第三者機関を設置することが提言されています。 市長がこれまで強くメッセージを送り続けている問題でもあり、このような提言を受け、教育委員会としてはどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 市長は常々、学校は児童・生徒にとって最も安全で安心な場所でなければならないと考え、さまざまな機会を通していじめの問題への対応は学力向上よりも上位にあり、最も優先順位が高いという思いを示されておられます。そのような思いから、次期大阪市教育振興基本計画の中には、「子どもが安心して成長できる安全な社会の実現」を最重要目標として設定しておるところでございます。 教育委員会といたしましては、大阪市いじめ対策基本方針を策定し、この方針のもと、軽微な事案についてもいじめ問題として認知し、被害児童・生徒の立場に立った、より丁寧な対応を実施するよう指示しているところであります。各学校におきましては、積極的ないじめ事案の認知のもと、被害・加害児童・生徒のみならず、関係児童・生徒からの聞き取りなど十分な調査を行い、いじめを受けた児童・生徒の救済に努めておるところでございます。 しかしながら、今回の報告書におきましては、教育委員会事務局指導部、こども相談センター、区役所子育て支援室、医療機関は、それぞれが保護者から話を聞き対応はしていたものの、それを共有する視点、一堂に集まって確認する視点がなかったとの御指摘をいただき、学校とは異なる第三者的な立場から関係調査や是正勧告等行うための第三者機関の設置について、提言をお受けしたところであります。 このような提言を踏まえ、今後速やかに、市長から提案をいただいた未然防止の取り組みの充実や、早期発見、早期対応等のいじめ問題対策を強化するためにも、条例により設置する第三者委員会とは別に、迅速な対応が可能となるよう、教育委員会の附属機関として常設の第三者機関を新たに設置するための協議を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) いじめの問題は、大きな社会的な問題ですから、しっかりと取り組んでください。 次に、放課後における学習習慣の課題についてお伺いいたします。 さきの我が会派の一般質問において、市長より、本市の児童・生徒は学校の授業以外での勉強時間に課題があり、学校教育課程外でのICTを活用した学習支援についても検討していく旨、答弁がありました。 小学校における放課後の活動は、現在、こども青少年局が所管する児童いきいき放課後事業や、教育委員会が所管する校長経営戦略支援予算による学習支援など、さまざまな形で事業が実施されていますが、それぞれの事業がしっかり連携し機能しているのか検証していく必要があります。 また、教育課程で導入されるICTについても、いわばそれは市民の財産であり、授業時間だけに限らず、子供の学習習慣の定着に資するようしっかり放課後にも活用していくべきです。そのためには、こども青少年局や教育委員会の垣根を越えて、児童のためにどのように授業を実施していくことが望ましいのかを考えていく必要があります。 市長は、今後どのようにマネジメントし、放課後の児童施策を推進していくのか、御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 「子どもの生活に関する実態調査」で明らかになりましたが、大阪では、学校以外では全く勉強しないと回答した子供の割合が、全国と比較して高いという傾向にあります。つまり、学習習慣の定着というのが、大阪市における顕著な課題になっています。放課後における児童施策についても、自主学習習慣の確立、それから学力の向上を視野にしっかりと進めていく必要があると思っています。 そのため、さきの一般質問も踏まえまして、局の縦割りを排して、副市長をトップにした、こ青局、教育委員会、区長、学校長をメンバーとします小学校内における放課後等児童施策推進プロジェクトチームというのを設置しました。放課後施策の検証や充実策について議論を始めたところであります。その中で、ICT機器の利用やパソコン教室や特別教室などの活動場所を確保して、これら学校の資産を、これは市民の財産であると私は思っていますので、しっかり放課後にも活用して学習支援していく方向で議論を進めていってもらっています。 まず、低学年のうちから宿題などの自主学習をする習慣が定着するようにしなければならないと考えています。ここは学校と連携して、児童のための放課後施策を充実させていきたいと考えています。また、放課後の児童施策の推進には、人材や財源の確保が不可欠になってきます。そのため、プロジェクトチームにおいても、施策の検証や充実策の検討に加えて、優秀な人材の確保策や財源の確保といたしまして、例えば国費の確保策や児童いきいき放課後事業における年間の登録料などの自己負担の導入も含めて検討していく必要があると思っています。 いずれにしましても、プロジェクトチームでさまざまな放課後学習については課題を整理して、最終的にはしっかりと市長としてマネジメントも行った上で、学力向上に向けた放課後の児童施策を充実させていきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、本市の高等学校の再編についてお伺いいたします。 平成25年11月、大阪府教育委員会と大阪市教育委員会が策定した再編整備計画では、広域的な視点で対応するほうがより効果的、効率的であるとされ、平成30年度までに府立高校、市立高校を合わせて7校程度の募集停止を行うとされており、大阪府では現時点で4校の募集停止を決定し、公表していると聞いております。 本市については、本年1月、大阪市高等学校教育審議会から本市普通系高等学校のあり方についての答申を受け、今後、南高等学校、西高等学校、扇町総合高等学校の3校を候補として、再編について検討を進めていくことになると聞いています。 私は、長期的な少子化が進行している中、高等学校の再編整備については、広域的な観点から大阪府とも連携し早急に進める必要があるとともに、生徒や保護者から選ばれる魅力ある高校にしていくべきではないかと考えます。 これまで、本市においては高等学校の特色化に取り組んできた経過があります。今回の再編整備に対する教育長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 本市におきましては、これまで大阪で唯一の公立の併設型中高一貫教育校であります咲くやこの花中学校・高等学校を開設し、高大7年間を見据えた教育を行う新しいタイプのビジネス高校として大阪ビジネスフロンティア高等学校を開設するなど、特色ある高等学校づくりに取り組んでまいりました。 現在、長期的な少子化が進行している状況の中、大阪府全体で再編整備による高等学校の総数の削減が求められているという現状があり、本市におきましても、府市の再編整備計画を念頭に既存校を再編整備し、時代に合わせた改編を早急に行う必要があると考えております。 本市の高等学校につきましては、新たな大都市制度への移行時に大阪府へ移管するという府市統合本部での決定に基づく検討も並行して行ってきたという経緯もあり、議員御指摘のとおり、再編の検討が予定よりおくれておる状況にございます。今後は、大阪府教育庁とも連携をしながら、スピード感を持って再編を進めてまいりたいと考えております。 再編の候補校であります3校は、英語科を初めとする言語系の学科、情報工学系や商業系の学科等、いずれも専門教育に特化した多彩な学科を有しております。本市に新たに設置する高等学校は、これらの特色も生かし、将来にわたって真に必要とされる教育内容を有する、魅力あふれる高等学校にしていかなければならないと考えております。 教育委員会といたしましては、早急に新しい高等学校のコンセプトや再編スケジュールなどの具体的な再編プランを検討してまいりたいと考えております。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 既存の高校3校を統合して、時代に合わせて改編し、新しい高校を設置することについてスピード感を持って取り組んでいかれるとのことであり、大阪の子供たちや保護者にとってさらに魅力ある学校となることを期待しています。今後、具体的な再編プランにしていく際には、小・中学校も含めた学校全体の教育環境改善を考えるという視点も重要ではないかと思います。 2月9日の大阪市学校適正配置審議会において、市内中心部における児童急増対策について、新たな視点や専門的見地からのさまざまな意見が出されましたが、最終的には、大きな課題として大阪市役所全体で早急に取り組んでいくべきであるとの結論に至ったとお聞きしております。 また、2月23日に開催された総合教育会議において、市長は、みずからをトップとするプロジェクトチームを立ち上げて組織横断的に検討を進めることや、西区の堀江小学校の過大規模校対策は喫緊の課題であり、その解消のために高校再編にかかわって生じる跡地も絡めていかなければならないとの考えを示されました。再編対象の3校のうち、西高等学校が位置する堀江小学校区では、児童数が急増し、平成34年度には47学級、1,642人という推計が出されています。これは、文部科学省が示す31学級以上は過大規模校という基準を大幅に上回る規模であります。そうなれば、もはや一つの小学校として子供たちに十分な教育を施すことができない状況と考えられ、早急に分離施設等の方策を講じる必要があります。 そこで、新たな高校の設置場所については、地域、小・中学校の児童・生徒数の推移見込みや、それに伴う教育環境改善の必要性も十分に勘案して決定していくとともに、待ったなしの状況である堀江小学校や堀江中学校の問題に具体にどのように取り組んでいくべきと考えておられるのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 次代を担う大阪の子供たちがすばらしい教育をしっかりと受けられる環境づくり、また、その保護者が子育てしやすい環境をつくっていくということは、この都市部における大阪においては非常に大切だというふうに思っています。 新しい普通科系高等学校については、教育委員会において、魅力のある教育課程の編成等について検討が進められております。設置場所の検討に当たっては、この3つの高校が担ってきた市内中心部における高校教育のニーズだけでなく、あわせて地域の義務教育の課題解消といった観点も踏まえて、総合的に検討を進めていってもらいたいというふうに考えています。 中でも西区の堀江地域においては、議員の指摘のとおり、小学校の過大校化への対応や中学校の狭隘化対策が、まさに喫緊の課題であります。近隣に新たな学校用地を確保することも極めて困難な状況にあります。そこで、西高等学校の校舎や広い用地を活用して、狭隘で増築が困難な堀江中学校を移転させるだけじゃなくて、あわせて堀江小学校も西高等学校跡地に分離していくという、小学校、中学校、高校という枠組みを超えた新たな手法で、教育委員会には抜本的な対策を講じてもらいたいと考えています。 今後、教育委員会から高校再編や小・中学校の教育環境改善の具体案が出されれば、その実現に向けて、私自身もしっかりと支援をしていきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 関係者や地域への説明も丁寧にお願いいたします。 次に、児童相談所についてお伺いいたします。 本市では、虐待相談を初め、増加する児童相談件数に対し、丁寧なケース対応や迅速な意思決定など効果的な事業運営を行うため、これまでの1カ所体制から3カ所による運営が適切として、平成28年10月に平野区に市内で2カ所目となる南部こども相談センターが設置されましたが、一方で、12月には3カ所目の候補地であった元いきいきエイジングセンターにおける開設が管理規約上の問題からできなくなり、改めて候補地の検討を行うとのことでありました。3カ所目となる児童相談所の開設は喫緊の課題であり、早急に着工に向けて取り組む必要があると考えます。 開設予定地や開設予定時期について、一部報道にもありますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 児童相談の件数については、急増しておりまして、北部の児童相談所の設置というのは喫緊の課題だと思っています。 元いきいきエイジングセンターにおける開設が厳しくなったことを受けまして、既存施設の転活用のみならず、未利用地への新設も含めて、アクセスであったり、敷地の広さ、形状等、候補地の検討を今行っているところであります。結果、3カ所目となります児童相談所につきましては、けさ一部報道もされておりますけれども、幾つか複数の候補地を今現在選定中であります。いずれの候補地にしましても、早期の開設が何より大事だというふうに思っておりますし、地域の皆さんの理解も大切だというふうに思っておりますので、丁寧に進めていきたいと思っています。平成30年度中の開設に向けて取り組んでいきます。 児童相談所の新設の場所につきましては、今幾つかある候補地、一部報道もありましたが、そこも含めた幾つかの候補地について、しっかりと先ほど申し上げた基準でも検討し、そして地域の皆さんの意見というのもしっかり踏まえた上で、最終的には戦略会議を開催して、そこで場所を決定し、速やかに公表していきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、区と地域のあり方についてお伺いいたします。 この間、我が会派では、まちづくりセンターの活用については地域活動協議会、いわゆる地活協の立ち上げ期と同じような支援を漫然と続けていくことは許されないとの考えを再三申し上げてきております。 平成29年度予算案を拝見いたしますと、まちづくりセンター関連予算は市全体で約3億7,300万円となっていますが、各区の予算案は、地活協の自立を目指し地域の状況を踏まえた、真に必要な内容となっているのでしょうか。 また、今後のまちづくりセンターによる支援については、各地活協において自律した地域運営ができるよう、明確な目標設定をした上でPDCAサイクルの徹底が必要と考えますが、どのように進めるつもりなのか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まちづくりセンターを活用しました地域の支援については、これまでは地活協の立ち上げが中心でしたが、各地域の状況は、自立して活動を活発に進めている地域もあれば、一方で、運営面において課題を抱えている地域もあるなど、さまざまであるというのが現状だと思っています。ですので、今後は全地域一律ではなくて地域ごとに、活動のさらなる活性化や会計処理など事務運営スキルの向上など、支援の内容をその実情に応じたものにすることが大事だと思っています。 また、区役所職員が行う支援との重複による非効率といったことがないようにすることも必要だというふうに考えています。 そのため、まちづくりセンターを活用した地域の支援に当たっては、区役所において、各地域ごとにその自立に向けた支援の目標や戦略を立てた上で事業内容を構築し、きめ細かな支援を行うとともに、支援内容の評価についても支援される地活協の評価を踏まえたものとしていくなど、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、各地域の状況に応じた効率的で効果的な支援になるようにしていきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 今後、各区の目標をしっかり確認できる体制もそうなんですけれども、市長、地域によっては必要な地域もあれば、必要でない地域もあると思いますので、その辺もしっかりと体制づくりのほうもよろしくお願いいたします。 次に、地域と行政との役割分担についてお伺いいたします。 地活協には、地活協を構成する各種団体が連携、協働しながら、みずから必要な活動を企画し、または再構築することで、自律的な地域運営を進めていただきたいと考えております。 一方で、例えば青少年指導員連絡協議会や青少年福祉委員連絡協議会など、地活協の構成団体となっている地域団体から、行政から依頼された事業の負担が大きくみずから実施したい活動が実施できず、担い手が育たないといった声を聞くことがあります。行政から委嘱している内容が地域の実態に合っていなかったり、地域活動についても地域が主体的に事業内容を再構築しづらく、やらされ感を感じてしまっていることなどが問題で、こうした声が出てきているのではないかと考えております。 こうした状況のままでは、地活協による自律的な地域運営の実現は困難ではないでしょうか。地域で行っている活動について、本来の目標を再確認し、地域にとって真に必要なものなのかどうかを検証する必要があると考えますが、この点について市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 各地域では、地活協やその構成団体などによって地域課題の解決に向けたさまざまな活動がされています。その中には、議員御指摘の青少年指導員の活動などのいわゆる本来行政が担うべきものを委嘱等により実施してもらっているものと、地域の皆さんによる自主的な活動を補助金という形で支援しているものがあるというふうに認識しています。 議員御指摘のように、委嘱等により実施してもらっている活動の内容が地域の実態に合っていなかったり、本市が補助している地域の皆さんによる自主的な活動について、本市から活動の具体的な内容まで依頼されたものであるといった意識がやっぱり地域にあって、こうしたことが地域の皆さんのやらされ感、負担感につながっているのであれば、委嘱する活動内容を見直し、地域の実態に即したものとしていくことが必要だと思っていますし、補助金を出すことによって具体的な活動内容まで指定してお願いしているものではないということをしっかりと説明して、理解してもらうことも重要だと思っています。 議員の御指摘を踏まえまして、地域の皆さんに活動の本来の趣旨や目的を改めて御理解いただき、問題意識や意欲を持って活動していただけるよう、各区役所や各局において、各地域の状況に応じた委嘱内容の見直しや説明に取り組んでいきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、地域防災リーダーについてお伺いいたします。 地域防災リーダーは、地域防災のかなめとして日々活躍いただいているありがたい存在です。4月の熊本での地震、10月での鳥取での地震と、国内で自然災害が多発し、また南海トラフ巨大地震も30年以内に起こる可能性が高いと言われる中、ますます地域防災リーダーの存在は重要となっています。 しかしながら、地域防災リーダーの位置づけが曖昧で、24区さまざまであるとお聞きしております。地域防災リーダーの立場を委嘱などにより位置づけた上で、今後、地域防災リーダーにどのような活躍を期待されるでしょうか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 自助、公助、共助の理念のもと、地域防災リーダーは、自主的な防災活動の促進を図るため、地域防災の指導者として活動いただいています。 現在、先行して要綱等によって、委嘱、認定等の形で位置づけている区もありますが、未実施の区においては、要綱等により地域防災リーダーを位置づけ、区長から委嘱するとともに、危機管理室、区役所、消防局が連携し、地域の自主防災活動を支援することによって、地域における防災活動の中核的な存在として地域防災力の向上に貢献していただくということを期待しています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 各区で策定する地域防災計画にも、防災リーダーの位置づけを明記いただくよう要望いたします。 次に、地域福祉を推進するための計画の策定についてお伺いいたします。 昨年11月の我が会派の一般質問に対し、市長からは、全ての区で最低限実施する必要のある基本的な施策や国の制度改正に対する解釈、人材育成などを統一的に行っていくための計画策定を検討すると答弁いただきました。少子高齢化の進展により、地域における支え合いがますます重要となることから、地域福祉をより一層推進していくための計画を急いで策定する必要がありますが、現状についてお伺いいたします。 また、最近、地域の方からは、複数の課題をお持ちの世帯は、医療や介護サービスにつながらないとの相談が多くあります。さらに、特別養護老人ホーム等における福祉人材の確保、育成など、積極的に取り組むべき施策もあります。加えて、地域の見守り活動や相談支援関係におけるサービスの向上については、AI・人工知能を初め、ICTの活用が有効であると考えられます。 このような課題についてもぜひとも計画に盛り込み、積極的に取り組んでいかなければならないと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 地域福祉を推進するための計画についてでありますが、全ての区で最低限実施する必要がある基礎的な施策や、中長期的な視点を持って統一的に実施していく施策を定めるため、高齢者や障害者の計画と同じく、平成30年度から32年度までの3年間を計画期間とします大阪市地域福祉基本計画を策定し、区が実施する地域の実情に応じた福祉施策を支援していきたいと考えています。 現在の策定状況についてですが、大阪市社会福祉審議会のもと、学識経験者や関係団体の方に計画内容を集中的に審議していただくための体制を整備し、本年1月より本格的な策定作業に入ったところです。 また、計画の柱として検討している内容についてですが、昨今、複数の課題をお持ちの方が多いことを踏まえ、相談支援機関が連携できる仕組みづくりや、福祉サービスの利用契約が困難な認知症高齢者のための権利擁護の取り組みの充実を考えています。さらに、大きな社会問題となっています福祉人材の確保、育成については、地域の福祉の担い手、社会福祉施設従事者、本市職員、それぞれにおいて中長期的な視点も持って進めていく必要があると思っております。加えて、本市では、さまざまな分野について、AIを初めICTの活用を積極的に推進していることから、地域福祉分野においても具体的な活用方策を検討したいと考えています。 いずれにしましても、今後、幅広い分野からの御意見をいただきながら、本市の地域福祉をより一層推進していけるような計画を策定していきます。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、戦略的なICT施策の推進についてお伺いいたします。 市長は、本年度4月に市長直轄組織としてICT戦略室を設置され、室長に民間出身者を任命し、最先端ICT都市を目指して、全庁的なICT活用の推進を指示されました。 本市会で上程されている最先端ICT装備都市推進事業の予算は、ICT戦略室として初めての予算編成であります。徹底したICTの活用として、地域の見守りや行政手続のオンライン化、タブレットを活用した遠隔手話、外国語通訳支援などが計上されている中、先ほど質問でも申し上げたAIの活用について、新規事業として予算を計上されています。 我が会派は、大阪市政の抜本的な革新を目指しており、その実現のためにはICTも積極的に推進するべきと考えています。その一方で、このようにAIやスマートフォン、オンライン、タブレットといった専門用語が連なる今年度の予算案を見ていると、将来はICTを使いこなすことができる市民だけがその施策の恩恵にあずかることができるのかという不安も感じざるを得ません。 そこで、市長は、ICT活用を進めることによって、将来の大阪における市民サービスのあり方、さらに行政運営の姿をどのようにしていこうとお考えか、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) これまで大阪市政において、このICTの活用というのは決定的におくれてきた分野なのかなというふうに思っています。したがいまして、今年度初めに、大阪市におけるICTの徹底活用を全庁的に推進していくために、ICT戦略室を設置しました。平成29年度の基本方針においても、ICTでできることはICTでやることを基本方針とするということを掲げ、予算編成もしました。 業務支援におけるAIの活用ですが、これは職員の負荷を減らすと同時に、迅速かつ的確な対応を可能として、市民サービスの質の向上につなげていきます。さまざまな法制度やケースを一度AIに入力すれば、もう成果は全市的に共有できますので、効果は非常に大きくなります。また、行政手続のオンライン化の検討もあわせて行っており、将来的には24時間365日、自宅から手続や問い合わせができるようにしたいと思っています。 AIを初め、技術革新の進むICTをうまく活用すれば、今後は音声やカメラ映像などによって複雑な操作をやらなくても、市民のニーズに応じたサービスを行うことも可能になると思っています。その結果、高齢者の方を初めとした介護などの支援を必要とする方や、市役所、区役所にお越しいただくことが難しい方も含めて、全ての市民に対してきめ細かい行政サービスを提供する、向上させていくことが可能になると思っています。 ICTの活用は、決してデジタル機器を所有している一部の人を優遇するというんじゃなくて、総合的に行政運営を改善することができる強力なツールになり得るというふうに考えています。今後も従来の市役所の常識にとらわれることなく、市民サービスの徹底的な底上げと活力創出につなげていくことを核としまして、ICTの活用に取り組んでいきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、民間活力の活用についてお伺いいたします。 まず、地下鉄事業の民営化についてですが、地下鉄事業の株式会社化、いわゆる民営化について、これまで4年以上もの長きにわたって議論されてきました。この間、他会派からのさまざまな意見、要望も取り入れて、議論の進め方そのものやプラン案も修正を重ねてきました。 昨年12月には基本方針案が可決され、ようやく、今回の議会には廃止条例案とともに、準備会社設立の出資金など関連予算案も上程されています。廃止条例案や関連予算はこの会期中に可決すべきですが、これが仮に継続となった場合、民営化による効果の発揮が遅延し、市民、利用者へのサービス向上も進まないことに加え、交通局側にとっても経営上のデメリットがあると考えます。また、民営化に当たっての産業競争力強化法の適用についても、平成30年3月末までに計画認定を受ける必要があるとされており、税制優遇や手続の簡素化といった民営化移行時のメリットが受けられなくなる可能性があります。 地下鉄事業の民営化は、基本方針案が可決されている以上、速やかに進めるべきと考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、地下鉄事業の株式会社化ですが、基本方針案について議会の3分の2以上の多数をもって可決いただきましたので、今回、本気度を示すという意味で、廃止条例案とともに基金や新たな部局の設置条例案を上程しまして、また、予算案においても基本方針案、プラン案の内容を具体化したものを計上しています。 仮に、この株式会社化の時期がおくれた場合、効率的な事業経営の推進やスピーディーかつ柔軟なサービス展開といった株式会社化の効果、この発揮は当然遅延しますし、その間、昨今の低金利化における借りかえメリットや株式配当、固定資産税の収入といった本市への財政効果も当然おくれるということになります。市民、利用者を初め、新会社の経営や沿線地域の活性化など、大阪経済にもたらす影響ということも考えますと、早期に株式会社化を図るべきという考えに変わりはありません。 一方、産業競争力強化法の適用については、約15億円の登録免許税の軽減措置が見込まれるほか、会社法における裁判所が選任する検査役による現物出資価格の調査が不要になるなど、大きなメリットがあります。現行法上、平成30年3月末までに計画認定を受けなければならないというスケジュールを勘案しますと、この2月・3月議会で御判断いただきたいと思っています。 本日、けさの新聞にも出ていましたが、地下鉄の民営化に賛成の方が60%、反対の方が19%という世論調査の結果も報道されています。もちろんこれは単なる世論調査なので、それをもって民意ということは当然ないんですけれども、これまで議論も重ねてきて、そして議会の3分の2以上の多数をもって基本方針の策定も議決されたと、そして大阪の私が感じるこの空気というか民意を含めても、今回の議会において、地下鉄の株式会社化、民営化は実現されるべきだというふうに考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 次に、地下鉄可動式ホーム柵の設置についてお伺いいたします。 昨年より、全国で視覚に障害のある方のホームからの転落事故が相次いでいます。このような痛ましい事故を防ぐためにも、地下鉄におけるホーム柵の設置は急務の課題であると考えます。 大阪の地下鉄においては、今里筋線、長堀鶴見緑地線など、既に50駅余りで可動式ホーム柵が設置されているものの、最も利用者が多い御堂筋線には、まだ心斎橋駅と天王寺駅の2駅しか設置されていません。先日、市長からは、新たに2駅にホーム柵を設置することが発表されましたが、御堂筋線においては中長期的に取り組んでいくと発表されました。御堂筋線は、市長会見で述べられていたように、ラッシュ時には非常に混雑し、課題が多いことは理解できますが、同様に利用者が多い東京においては、今回の事故を受け設置スピードが進み、東京オリンピック・パラリンピックまで、かなりの駅でホーム柵が設置されるとお聞きしております。 大阪においても、今後、大阪万博やIRの誘致でさらなる発展を遂げ、全世界から多くのお客様がお越しになることが予想される中で、大阪の顔となる御堂筋線にホーム柵が設置されていることが最高のおもてなしになると考えています。 そこで、この御堂筋線全駅へのホーム柵の設置について、具体的な取り組み等を含め、改めて市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) ホームからの転落防止は、鉄道事業者として重要な責務だというふうに認識しています。 御堂筋線の全駅にホーム柵を設置するということについてですが、まず、ソフト対策について充実させていくというのは、先日発表したとおりであります。このホーム柵を設置するには、車両を決まった位置に停止させる装置を設ける必要がありますので、後年に手戻りが生じないように、あらかじめ車両の更新時などにおいては準備を進めていますし、そのほか、2月から御堂筋線のなんば駅のホームにおいて実施しています整列乗車の取り組みを、今月中には梅田駅から順次実施していきます。 可動式ホーム柵の設置は、ホームからの転落防止に非常に有効でありますが、一方で輸送力の確保という課題とのバランスが重要だというふうにも認識していまして、引き続き課題解決に積極的に取り組んでいきたいと思っています。 一日も早いホーム柵の設置に向けて、市民、利用者の皆様にも列車へのスムーズな乗降に向けた取り組みについて御理解、御協力いただくよう、私からもお願いしたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 安心・安全のために、万博開催を見据えて一日も早く、できることから行っていただきますようよろしくお願いいたします。 次に、天王寺公園・動物園などの大規模公園の活性化についてお伺いいたします。 大阪城公園や天王寺公園では、民間事業者の活力導入によってより質の高い飲食、物販などサービスの提供を行うことにより、観光客等で大変にぎわっています。今後もサービス施設の整備に伴い、ますます魅力を増し、にぎわいを創出してくれるものと期待しています。 都市公園へ民間活力をうまく取り込むことは、公園の魅力が向上し、観光や集客に寄与する点で大変有益であります。今後も積極的に民間活力を導入し、都市公園の活性化に努めるべきであると考えます。 中でも、大きな集客効果が期待できる大規模公園については、これまで本市職員が行ってきた公園管理の代行料を支払って管理させるこれまでの指定管理者制度にとどまらず、指定管理者が収益を上げ公園管理に還元させる仕組みを導入することにより、民間の参入意欲を促し、一層効果的、効率的な公園管理の実現につながると考えますが、都市公園における民間活力導入の取り組み方針について、市長の御所見をお伺いいたします。 また、天王寺動物園についてでありますが、現在、にぎわいを見せている天王寺公園の飲食・物販サービスと同様に、民間活力を導入することができれば、相乗効果が生まれ、動物園を含む公園全体のにぎわい創出が進むと考えます。早期に動物園への飲食・物販サービスに民間活力を導入し、集客向上が図られるよう検討を進めていただきたいがいかがでしょうか。 あわせて、動物園では新たな経営形態について検討を進めるとのことでありますが、今後の検討の方向性について、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、公園への民間活力導入についてですが、大阪市では中之島公園への民間事業者によるレストランやカフェの設置のほか、長居公園、八幡屋公園、鶴見緑地において、指定管理者制度を導入しています。大阪城公園においては、指定管理者制度に加えて収益施設の設置を可能にしたり、天王寺公園では、施設の設置管理に係る許可を行うことで民間事業者が持つ柔軟かつすぐれたアイデアや資本投資を促して、公園の新たな魅力を創出することで大いににぎわいを創出し、地域の活性化にもつながっています。 そういった中で、大規模公園のあるべき姿を実現するための効率的、効果的な維持管理の手法として、それぞれの公園における立地条件や集客施設の有無など、それぞれの公園の持つポテンシャルを踏まえた事業ニーズや事業性を把握して、民間活力の導入について、これからも積極的に進めていきます。 その上で、既に指定管理者制度を導入している公園については、次回の事業者公募時に反映させるとともに、現時点においても実現可能なものがあれば適時実施していきます。 天王寺動物園についてですが、民間事業者の企画力、経営力を効果的に展開できる飲食・物販等サービス機能について、民間活力の導入を図ることとしています。「てんしば」につながるエリアを動物園、美術館、各エリアの魅力を相乗させる新たなにぎわい拠点として整備するとともに、動物園内のサービス施設の運営を包括的に行う事業者の公募をできる限り早期に開始していきたいと考えています。 動物園の新たな経営形態についてですが、公立動物園の役割、機能を果たすことが大事ですので、それをまず重視した上で、効果的、効率的に経営を行うことのできる地方独立行政法人化や公益財団法人等による指定管理者制度の活用を検討していきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 大阪城公園の成功のノウハウを全公園に生かしていけるよう、よろしくお願いいたします。 次に、IR誘致に向けた推進についてお伺いいたします。 IRについては、昨年12月にいわゆるIR推進法が可決成立したことも受け、4月からは府市共同でIR推進局を設置して、府市一体となった取り組みを進めていくとのことです。 IRの立地を進める夢洲は負の遺産と言われてきましたが、いよいよIRを核とする国際観光拠点として、その活用に向けた具体的な動きが本格化する段階に入りました。まさに大阪経済の起爆剤となるものであり、関西経済同友会の試算によると、経済効果は毎年7,596億円生まれ、雇用創出は9万8,000人となっています。さらに、本市水道局による水需要の試算だけでも年間5億円となっており、我が会派として大いに期待するところであります。 一方で、IRは、MICE関連施設やカジノ施設、エンターテインメント機能を持ったレクリエーション施設などさまざまな施設が複合的に集結することから、投資規模も大きくなるとともに、事業関係者も多岐にわたることになります。事業者として大きなビジネスチャンスであり、有力な候補地とされる大阪には、今後、行政にさまざまな形でアプローチがなされることが予想されますが、市民からあらぬ疑念を抱かれることのないよう、事業者対応については組織として十分に注意すべきと考えます。 この点、先月には、職員が事業者と接する際の内規を3月末までに作成すると新聞報道もありましたが、市長として、今後IR関係の担当職員にどのように業務に当たらせるのか、御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 統合型リゾート(IR)については、非常に大きな経済効果、雇用創出効果が期待できるものであって、国際観光拠点の形成を目指している夢洲に誘致したいと思っています。そのため、大阪府、大阪市共同で新たに設置しますIR推進局において、ギャンブル依存症対策など、誘致するに当たっての課題についてもさまざまな検討を行うということが大事だと思っています。それを行いながらも大阪におけるIR構想を策定し、積極的に市民の皆さんの理解の促進を図るということをやって、強力に誘致していきたいと思っています。 御指摘の事業者対応についてですが、IR推進法が国で成立し、今後さまざまな事業者の活動も活発化してきます。4月以降、新たにIR推進局をつくって、府市の窓口を一本化して進めていきたいと考えています。 IRに関する大阪の動きは、多方面から非常に注目を浴びると考えていますので、スピード感を持って精力的に進めていきますが、担当職員においては、公募条件の検討内容など、事業者にとって非常に重要な情報を扱うということにもなってきます。直接の事業者に限らず、その他の関係者との接触についても疑念を持たれることがないように、一定のルールを作成して、行政としての公正性には十分留意して業務を進めてまいりたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 知事と市長も、関連事業者とは公の場でしか会わないと決めて発信されています。本市関係職員及びOBや外郭団体の職員も含めて、同じ思いで業務に専念できるよう、内規の作成を進めてください。 次に、ギャンブル依存症対策についてお伺いいたします。 市会においては、昨年10月にパチンコ等を含む全てのギャンブルについて、関係省庁の組織の垣根を越えて総合的な対策を取り組むことを求め、国への意見書を採択いたしました。また、我が会派は、パチンコ等を遊技ではなくギャンブルとして位置づける、実効性のあるギャンブル依存症対策を求めています。 国においては、いわゆるIR推進法の法案も修正可決され、成立時の附帯決議においても、カジノにとどまらず、他のギャンブル、遊技等に起因するもの、すなわちパチンコも含めたギャンブル等依存症に関する国の取り組み強化の必要性が示されています。 市長は、この間、この問題に関して、議会はもちろんのこと、さまざまな場面で国としてしっかりと真正面から取り組んでいく必要があると述べられてこられました。 今後は、国の取り組みはもちろんのこと、地方での取り組みも注目されています。国において、関係省庁の垣根を越えた検討を進め、府市においても関連施策の横串を刺し、実効性ある取り組みを進める必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 我が国においては、公営ギャンブルやパチンコなどの依存症が、今現在においても非常に多くて、それが大きな社会的課題であるというふうに認識しています。そのため、IRを契機に、国としてしっかりと現状を把握して対策を講じていく必要があると、これはもうたびたび訴えてきたところであります。 現在、IR推進法の成立後、パチンコもその対象範囲として、速やかな省庁横断的なギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議、これが国で開催されています。そことの情報共有とともに、今後に向けてのアクションを開始しているところです。そうした国の動きも含め、ギャンブル等依存症についての法制化を国に働きかけていきたいと思っています。これはもう早期に働きかけていきます。 IRを誘致しようとする自治体として、それに加えて何ができるのかについては、4月からの府市共同で設置しますIR推進局において、外部の有識者、専門家の御意見もいただきながら、パチンコを含むギャンブル等依存症対策についてしっかりと検討を進めていきます。その際には、IR推進局が中心となって、課題に応じて、府市のそれぞれの関連部局も交えて全庁的な検討を進めて、担当部局によって実効性のある取り組みが行われるようにマネジメントしていきます。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 最後に、万博誘致を実現するための取り組みについてお伺いいたします。 国においては、2025国際博覧会検討会を昨年12月に設置するなど、立候補に向けた作業を急ピッチで進められています。基本構想案の検証を終え、最終報告を取りまとめられた後は、速やかに閣議了解に向けた調整に入ると聞いており、まさに、これから国を挙げての誘致活動が本格化していくことになります。 万博は国際的なビッグイベントであり、誘致委員会は、国と大阪府、経済界と密接に連携しながらプロモーション等を推進していくと考えられますが、誘致活動の取り組みを国や誘致委員会任せにするのではなく、本市としても、姉妹・友好都市などの海外ネットワークを活用するなど、地元自治体としての存在感を示しながら、独自の誘致活動にも取り組むべきです。 また、万博開催期間中の来場者見込み約3,000万人の輸送計画について、基本構想案においては、鉄道やバスを利用するとしていますが、例えば大阪湾に浮かぶ人工島である夢洲の立地と特性を生かし、関西国際空港や神戸空港から夢洲まで直接来場者を輸送する航路を設けるなど、交通アクセスの面でも工夫することで、今までにない万博としてアピールできるのではないでしょうか。 2025年万博は、既にパリが立候補を表明しており、強力なライバルとなるため、誘致に向けてはさまざまな点で積極的な取り組みが求められると考えますが、市長の御所見をお伺いいたします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 万博の誘致の実現に向けてですが、経団連の榊原会長をトップとして設立しました2025日本万国博覧会誘致委員会が設立され、これは当然、私自身もそのメンバーに入っています。オールジャパン体制で精力的に誘致活動を進めていくことになります。本市としても、地元自治体として誘致委員会とも連携、協力しながら、大阪における機運醸成、情報発信を広げていって、来年秋の開催地の決定までの限られた時間をフルに使って誘致に取り組まなきゃいけないと思っています。 具体的には、さまざまな広報媒体を使った市民向け広報活動であったり、集客力のある大阪市主催のイベントでのPR活動など、万博開催に対する地元の期待感を高める取り組みを展開していきます。 また、誘致活動については、本年6月のBIE総会に合わせて、私自身も現地で大阪の魅力についてアピールを行いたいと思っています。本市が長年にわたり培ってきました姉妹・友好都市や関西に所在する各国の在外公館等を初めとする海外のネットワーク、これも生かしたBIE加盟国に対するプロモーション活動を推進していきます。 万博会場となる夢洲までの交通アクセスの検討については、地下鉄やシャトルバスによる陸上輸送だけじゃなくて、議員の御指摘のとおり、臨海部であるというポテンシャルも最大限活用して関空や神戸空港からの水上での直行便の運行を行うなど、関係事業者とも連携して新しいアクセスの手段を検討し、海外を初め日本の各都市から集まる来場者をアクセス面から魅了していきたいと考えています。 厳しいパリとの誘致合戦に勝つためには、プロモーション活動に工夫を凝らすとともに、アクセス手段についても多様な検討を行うなど、今後、国、府、経済界とも十分連携しながら、魅力のある日本万博を誘致、演出していきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 大橋一隆君。     (58番大橋一隆君登壇) ◆58番(大橋一隆君) 私の質疑は以上ですが、財政収支不足を解消するために、施策・事業の見直しはもちろんのこと、各局が稼げる大阪を目指し、今後の施策を行っていただきますよう強く要望いたしまして、あしたの代表質問及び詳細は、各常任委員会にて具体に質疑させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(木下誠君) お諮りいたします。この際、暫時休憩することに決して御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(木下誠君) 御異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午前11時35分休憩     午後1時再開 ○副議長(加藤仁子君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君の質疑を許します。 24番山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 私は、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団を代表いたしまして、平成29年度予算案並びに関連諸案件について、市長に質問させていただきます。 私ども自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団は、一昨年5月の特別区設置協定書が否決されて以来、この住民投票で示された政令指定都市大阪市を存続、発展させてほしいとの民意を受け、大阪市の発展のための方策を検討してまいりました。 都市内分権を進め、市民サービスを向上させるべく、市民の意見を取り入れた総合区の制度設計について市長に提言し、政令指定都市大阪市の権限を強化し、水平連携によって府下の他市町村と共栄していくことこそ大阪の発展につながるという信念のもと、新たな大都市制度を検討しており、住民の意見も反映せず、終わった制度案を蒸し返すような無責任な姿勢と一線を画する、責任ある姿勢を貫いてまいりました。 去る2月14日に、大阪府の地方分権改革ビジョンが改訂され、府の権限を市町村に積極的に移譲するとともに、合併を進めて府下全市町村を中核市などに再編するとの目標を掲げたと報道されました。府下市町村への権限移譲は、我々自民党の府議会議員団も従前から主張してきたことであり、大阪府の行政がやっとある程度同じような思いを持っていただいたことは、大いに歓迎すべきことであります。 しかしながら、一方で特別区設置を進めるというのは大阪市だけが分割され、権限、税財源を奪われるということであり、全くの矛盾であると言わざるを得ません。大阪府の財政は、実質公債費比率が全ての都道府県の中で北海道、岩手県に次いで3番目に悪く、既に起債許可団体となるなど、自転車操業状態にあります。 一方で、大阪市は、大阪市大改革スタートの關市政時代に市民の協力のもと本格的な行財政改革を行い、その結果、財務内容は大きく改善し、当時と比べ筋肉質となり、職員にもコスト意識が相当に浸透しました。当然、全ての問題が解決したわけではないですが、間違いなく次のステージに大阪市政は移行しているのです。 ここで大事なことは、本当の意味で市民を豊かにする政治、つまり市民が豊かさを実感し、誇りを持ち、強靭な大阪市をつくり上げ、大阪府や府下の市町村と連携し、関西全体を引っ張っていく世界都市へシフトしていくことにあります。私どもは、無責任で矛盾した議論に煩わされることなく、そのような輝かしい世界都市大阪市を実現する義務があります。この思いを形にすべく、質問していきたいと思います。 まず、大阪市の経済対策についてお伺いいたします。 「経世済民」、世を治め民を救う、経済の語源となった中国の古典ですが、市民、国民を豊かにするための政治を目的とする、そういった意味であります。 大阪市の経済は、他都市と比べて格段に疲弊していることが、幾つかの経済指標から明らかに読み取れます。例えば、市民所得をとってみても、リーマンショックの前年度である平成19年度と直近の平成25年度を比較して、大阪市民の所得は、14.1%も落ち込んでいます。この数字は、他の政令市に比べて突出しています。年収500万円の人なら、70万円も落ちている計算になります。市民の所得が落ち込んでいる状況で、市民は何を節約して生活しているのか、市長は考えられたことがありますか。 大阪経済の活性化の基礎となるのは、中小企業の元気であると考えており、現状、それらの対策は、他の施策と比べて乏しいと言わざるを得ません。具体的に言いますと、中小企業支援の予算は、平成25年度と平成29年度予算を比較すると450億円減少し、来年度予算案についても、前年度予算と比べて2,900万円も減額されております。新規や拡充とされている主な事業を見ても、新たな助成制度を創設した企業立地促進助成事業は6,000万円、IoT・RT関連ビジネス創出事業が3,800万円、大阪産業技術研究所の新たな研究開発に4,800万円など、事業項目をたくさん掲げているだけで、それぞれの予算額は余りにも少額で実効性のある予算額になっていないのではないかと思われます。これで、産業振興、中小企業支援が本当にできるのでしょうか。残念ながら、大阪市民は、豊かになるのではなく、貧困に向かっております。 言うまでもなく、日本は自由主義経済の中にいます。コストを抑えれば、それだけのサービスしか受けられない。給料を抑えれば、その分の仕事しかしない。当然、優秀な人材は集まらない。そんなところには企業も集まらないし、その結果、市民、会社はよくならない。当然のことであります。多くの事業所が集積する大阪市が、中小企業の視線に立った施策にもっと力を入れてやっていかなければならないのではないでしょうか。 市長は、産業振興、中小企業支援について積極的に取り組もうとしているのか、お伺いいたします。 ○副議長(加藤仁子君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、先ほどの予算額について大幅に減少していると、そして450億円減少しているという御指摘がありましたが、そのほぼ大半は金融支援の予算であるということは、まず御指摘をしておきたいと思います。 その上でなんですけれども、やはり経済の活性というのは当然必要でして、経済の活性がない限り税収もふえてこないと、税収がふえてこなければ市民サービスも拡充できないと。つまり、僕自身も経済の活性というのは、大阪の住民サービスを拡充する上でも必要不可欠なものであって、この大阪を成長させていくということが何より大事だと思っています。 そして、その成長戦略として考えるものとして、やはり、大阪と地方部では違うと思っていまして、地方の農村のようなところであれば企業誘致に直接補助ということもあり得るのでしょうけれども、大阪のようないわゆる都市圏において基本的な政策というのは、民間の事業者が事業をしやすいプラットホームを整える、環境を整備するというのが、僕は、将来の発展、成長につながる大切なことだというふうに思っています。 中小企業が非常に多い大阪ですから、今の大阪のこの力を支えていただいているのは、もう中小企業です。ですので、中小企業事業者、そして新たな産業を生み出そうとするところを積極的に支援していくというのは、当然大切なことだと、ビジネス環境の整備が必要でそれを整えていきたいと思っています。 これについては、大阪府とも一体となって、大阪の成長戦略を着実に進めていっているところであります。成長産業分野での事業の拡大と促進と、付加価値の高い製品・サービスの創出、そういった環境も行っています。 それから、大阪も徐々にではあると思いますが、経済も回復基調にあると思っておりまして、商業地の地価の上昇率も全国1位ということであります。大阪のさらなる成長を遂げていくこと、これが最終的には住民サービスの拡充にもつながるというふうに思っています。 将来にわたって持続的に成長するこの大阪経済の実現のために、産業の振興、中小企業の支援の中長期的な方向性につきましては、経済団体の御意見も頂戴しながら、地域経済成長プランとして取りまとめました。今後、そのプランに基づいて、ビジネスチャンスを創出する大阪を目指して、さまざまな取り組みを強力に進めていきたいと思っています。 経済を活性化させていくためには、頑張っている、これまでの大阪の中小企業をしっかりと支えていくということに加えて、新たな産業を生み出すことも大事だと思っています。イノベーションが次々と生まれる環境整備を進めて、新たな製品やサービスの創出、新たな会社を興す企業とチャレンジする事業者を積極的に応援していきます。 中小企業支援は、事業者が存分に事業を展開していけるよう力を注いでいくことが重要だと思っておりまして、予算編成に当たっては、ビジネス環境の整備、とりわけ事業者の新たなチャレンジの支援等、重点的な取り組みについては予算を措置し、施策・事業の選択と集中を行っています。経済活性化によって魅力ある大阪を実現していく必要があります。 引き続き、世界のこの都市間競争を勝ち抜けるような、そんな成長する大阪、個性のある大阪を目指していきたいと思っていますし、大阪の中枢を担う、まさにポテンシャルを発揮していくためにも、地域経済の成長に向けて前向きに努力する中小企業のビジネス環境を図る効果的な支援をしっかりと行っていきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 私は、大阪の発展のためには、政令指定都市大阪市のポテンシャルを最大限生かした経済対策により、足元の市民、事業者の懐を温め、活力ある景気の循環を生むことが必要不可欠であると考えております。経済対策の予算額が減額されているにもかかわらず、口だけで実のない答弁でありました。市長の経済対策に向ける思いのなさ、やる気のなさが推して知れ、その無責任さは非常に残念です。IR、万博ばかりでなく、中小企業の支援といった、地道であっても長期に取り組むことが経世済民ではないでしょうか。 国では、小規模事業者経営改善支援融資事業の予算を増額されております。対して、本市の予算では、金融支援費約33億円の減、大阪府では約500億円の減となっております。中小企業は、資金が回って何ぼです。大阪の行政が、その役割を放棄していることは非常に残念であります。 次に、公共施設マネジメントについてお伺いします。 大阪市には、多種多様な公共施設がありますが、道路、橋、上下水道など日々の都市活動を支える公共施設の老朽化が進んでおります。本格的な更新時期を迎えるに当たり、大阪市では公共施設の管理にかかわる庁内関係部局が一体となって、総合的かつ計画的な施設の維持管理を進める上での基本的な方針として、大阪市公共施設マネジメント基本方針を策定し、この方針に基づき、各所属において個別施設計画を策定することとなっております。 市設建築物においては、外壁の剥落、天井ボードの落下、給水設備からの漏水による全館停電などの事故等の発生が、またインフラ施設においては、道路の陥没や上下水道の破裂などの老朽化、損傷が問題となっている中で、市民や市内に来られる方々の安全・安心のためには早急に整備、更新していく必要があります。 市長は、施策の選択と集中を進めるとしていますが、市民の安心・安全にかかわる公共施設の老朽化に係る更新・整備は優先順位が高いはずであり、経済対策としての一面も有します。市民の安全・安心を図るため、将来世代の負担を軽減するためにも、いずれしなければならない老朽公共施設の更新・改修は、着実に進めながらもペースアップをするべきだと思いますが、市長の御所見をお伺いします。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 厳しい財政状況や人口減少が見込まれる中で、公共施設の老朽化への対応は喫緊の課題となっています。市民の安全・安心を確保して、財政負担の軽減、平準化を図るためにも、公共施設の長寿命化などを計画的に行っていくということが大切だろうと思っています。このため、大阪市公共施設マネジメント基本方針を策定するとともに、これを踏まえた市政改革プラン2.0におきましても、公共施設の総合的かつ計画的な管理を改革の取り組みとして位置づけております。 今後見込まれます維持管理コストの増大に対応するため、中長期的な視点から施設総量の抑制に向けた取り組みも進めていきます。インフラ施設については、施設の特性に応じて長寿命化を基本として策定している個別実施計画に基づいて、計画的、効率的な維持管理を着実に行っていきます。市設建築物については、個別施設計画の策定を進め、スピード感を持って更新、改修に取り組んでいきたいと考えています。 こういった状況の中で、平成29年度予算においては、公共施設の維持管理に係る経費、これをきっちりと確保することが重要だという認識を持っておりますので、昨年度までとは異なって、今回新たに長期的な今後の財政収支概算の中にも、昨年は見込んでいなかった部分につきましても、長期的に一定見込んだところであります。 今後とも、公共施設については、私のリーダーシップのもとで、大阪市改革プロジェクトチームを通じてしっかりとマネジメントに取り組んでいきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 足元を支える都市機能の強化は非常に重要であり、着実に実行していただきたいと思います。しかし、着実に実行していくためには、執行体制が確立されている必要があります。私が、この質問をするに当たり理事者に見解を確認した際にも、各局の間で誰が答えるか押しつけ合って、全く答えが返ってきませんでした。その光景を見て、一つの所属が公共施設の更新、改修を一元的にコントロールできるような仕組みが必要だと強く感じました。予算委員会において、提言していきたいと思います。 では次に、先日公表されました阿倍野再開発事業の検証報告についてお伺いいたします。 今回の検証では、収支不足の要因と、それを踏まえた今後の対応策がまとめられていますが、既に言われてきたことばかりで、改めて検証した意義に疑問を感じたところであります。また、再開発によるまちづくりの結果、近郊の地価が上昇したことなど、よかった点については余り触れられておりません。 そこで、今回の検証において市長は何がしたかったのか、何を得ることができたのか、お伺いいたします。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 阿倍野再開発事業については、平成29年度に完了を迎えて、まちづくりとしての所期の目的は達成することになりました。一方で、2,000億円という多額の収支不足、これが生じた結果になった、これまた事実であります。 再開発については、まちづくりというこの目的を達成したという意味では、大きな目的を達成できたと思っておりますし、それは行政にしかできなかったことだと認識しています。一方で、2,000億円というこの多額の収支不足がなぜ生じたのか、そして、今後また同じような事業をする可能性が、これはゼロではありませんから、そういったときに阿倍野での反省点があるのであれば、それをしっかりと踏まえて新たに取り組んでいくことにするという、これからのことを考えて総合的な検証を行うべきだという判断で、昨年度、部局に指示をいたしました。有識者の方にも入っていただいて、今回、検証を取りまとめたところであります。 その中で、やはり得られたものとしては、阿倍野については事業全体の収支の把握であったり、財務リスクの管理といったリスクマネジメントの観点、それから事業初動期の執行体制であったり組織内の相互連携、重要な意思形成過程の明確化といった組織マネジメントが反省すべき点であったんじゃないかというふうに報告もされていますし、私もそのように認識しています。今後の大規模開発事業に生かす重要なポイントになるだろうというふうに思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) リスクマネジメントの不足と組織マネジメントの不足を課題として認識したとのことであります。この答弁は深く心に刻み、市長のリスクマネジメントと組織マネジメントを注視し、しっかりと検証していきたいと思います。 それでは、夢洲まちづくりについてお伺いいたします。 現在、大阪市は大阪府とともに、万博及びIR誘致に取り組んでいます。しかし、万博を確実に大阪に誘致するためには、クリアしていかなければならない課題も多いはずです。 先月15日に開催された2025年国際博覧会検討会で、国から示された会場計画等の検証においても、例えば、入場想定規模や輸送計画などの実現可能性や、会場設営費や運営費などの開催経費等に関する改善案が示されていますが、それらの検討や対策については今後のことであり、経費も明らかになっておりません。 また、この間の市長の説明では、万博会場への輸送力を向上する地下鉄延伸などのインフラ整備は、基本的にIR事業者に負担を求めるべきものとおっしゃっておられます。では、万博のスケジュールに間に合う時点で、IRが誘致できなかった場合にはどうするんでしょうか。IRに過度に依存する万博となっているのではないでしょうか。 こうした不確定要素が多い中、先ほども市長はリスクマネジメントとおっしゃいました。夢洲での事業については、具体例として挙げた上でリスクマネジメントをしっかりやっていくと発言されています。市長は、夢洲での事業について、どのようにリスクマネジメントを行っていくつもりなのか、お伺いいたします。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、議員御指摘の万博誘致についてですが、昨年、国に万博基本構想案を提出しまして、経産省において2025年国際博覧会検討会が設置され、この間、基本構想の検証、検討がされているところです。この検討会には、多くの有識者にも入っていただいて、大阪での万博開催に立候補するという前提で、非常に有意義な議論が行われています。 この検討会ですが、当初からオープンで議論されておりまして、外部有識者からもさまざまなチェックがされているところです。加えて、府市においては、今後の誘致活動やBIEへ提出する基本構想の具体化についての外部チェック体制も予定しておりまして、必要な予算も計上しているところです。 国の検討会において示された改善案については、今後、府とともにしっかりと必要な調査も行っていきますが、費用管理も徹底しながら改善案について検討していきたいと思っています。 また、交通アクセスとして必要になります地下鉄延伸については、外部有識者の意見もいただきながら検討を進めていくとともに、財政負担についても、IRの進捗によってさまざまなパターンをシミュレーションしておく必要があるため、既に関係所属で検討させているところです。 いずれにしても、阿倍野再開発事業の検証で明らかとなった問題点については、今後の大きな事業においては、その反省を生かして、これはもう組織としてやっていく必要があるというふうに考えております。夢洲における事業においても、意思決定の過程、これについてはオープンに、明確にしていきたいと思っておりますし、組織マネジメント、リスクマネジメントは、常に私もそうですけれども、組織全体として、これは恐らく議会の皆さんもそうだと思うんですけれども、意識して行政としては取り組んでいきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 答弁に対して、2点確認したい点があります。 1つ目は、意思決定過程を明確にとの御答弁でしたのでお聞かせいただきたいのですが、万博候補地として、検討会の場で当初挙げられていた6カ所に夢洲を加えることを提案されたのは、どなたでしょうか。 2点目は、財政負担についても、IRの進捗によってさまざまなパターンをシミュレーションしておくとのことですが、万博の誘致が失敗したときのリスクシミュレーションや、IR事業者が撤退した場合のリスクシミュレーションについては、どのようにお考えなのでしょうか。再度質問いたします。
    ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 夢洲について、万博の候補地の中で夢洲について決定されたと、候補の有力な場所として決定されたというのは、これは誘致の委員会、府で構成されている誘致の委員会で議論されたというふうに記憶していますが、これは質疑の通告になかったので、ちょっと、もし記憶が不正確であれば、また理事者に答弁してもらいたいと思っています。 それから、リスクのマネジメントについてですけれども、これはやはり万博が誘致されたけれどもIRは誘致されなかったと、つまりIRができなかった場合どうするのかというようなのが、一番これは考えなければならない、リスクが一番現実化するところであろうと思っています。 IRが既に誘致されて、その後、万博が決定したとなれば、今度はこのIR事業者に対してどういった公募条件を課していくのか、この地下鉄の延伸についてどの程度の負担を求めるのか、これについては土地代にも反映されることになると思いますが、これは事業公募の中で検討していく課題になると思っています。 一番やはり課題になってくるのは、万博について誘致が決まったもののIRについてはこれはバツだというようになった事態のときに、この地下鉄延伸についてどうするのか。これについては、やっぱりさまざまなシミュレーションをその時点においてする必要があると、既に検討させていますけれども、これはシミュレーション、検討していく必要があるだろうと思っています。 方法の一つとして、そもそも、かつての1970年大阪万博のときのように--今トンネルがありますから、そこで一定の確たる駅舎のようなものをつくるのではなくて、一定の臨時的なものをつくっていくのか、その場合の費用についてはどちらがどれだけ負担をするのか、そういったシミュレーションについては徹底してやっていくと。万博もIRも来ないということになれば、今トンネルが途中まででき上がっていますが、そのまま計画はするものの着手はしないということが、基本的な発想になるだろうと思っています。 そういったあたりの大きな場合分けについて、関係部局に対して、それぞれ細かにシミュレーションをさせていくことが重要であるというふうに思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 誰が提案したか教えてくださらない。意思決定過程を明確にと先ほど言われたわけですけれども、あきれますわ。 リスクシミュレーションについては今後検討ということですけれども、事業者の撤退リスクを加味すべきだということは、阿倍野再開発の検証の中で市長御自身がおっしゃったんですから、市民が納得できるものをお示しいただけるものと期待しております。 次に、住吉市民病院跡地への民間病院の誘致についてお伺いいたします。 民間病院が住吉市民病院の医療機能を引き継ぎ、市民の安全・安心を担保してくれることを前提として、昨年の3月29日、府市共同住吉母子医療センターの予算を可決しました。そのわずか2週間後に、民間病院から建設困難との相談があり、我々議会に報告があったのは、なんと11月の末であります。豊洲の問題と同様、事実を隠していたということが問題であり、議会軽視と言わざるを得ません。 さらには、先日の民生保健委員会において追及したとおり、昨年9月27日の民生保健委員会の質疑で、用地北側には209床の病院が建てられないということがわかっていながら、それを隠蔽するような答弁をされました。市長が事実関係を知りながら事実を答弁しなかったことは、我々市民の代表に対して事実を隠蔽したということであり、強い憤りを覚えております。市長が責任を認めて謝罪するまで、住吉市民病院の廃止につながる全ての議論に応じることは、良識ある市民の代表として断固受け入れられないと、先日の委員会で私から強く申し上げたところであります。 市長は、この点についてどのように考えておられるのでしょうか。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、先ほどの夢洲への万博への誘致については、その幾つかの候補の中から最終的に大阪市として夢洲を候補地としようというのは、これは戦略会議でも意思決定しておりますので、その点を付言させていただきます。 それから、今、御質問ありました9月27日の民生保健委員会における答弁についてですが、これは厚労省に提出しています再編計画そのものに影響を及ぼすということを把握できていない状況の中で、健康局として医療空白を招かないために、何らかの方策をあわせてお示しすることなく、単に建設が間に合わないということだけでは、市民、議会に対する責任ある態度にはならないという認識のものとして、結果としてああいった課長答弁であったものだと認識しています。 本市の各所属の答弁全ての詳細にわたるまで、僕自身、市長である私には、全て把握、指示するということは、これは組織上困難ではありますが、所属職員の答弁については、まずはつかさつかさの各所属の責任において、しっかりとマネジメントする必要があると思っています。 ただ、市民の代表である議会に対して事実と異なる答弁をしたということには、これはもう変わりありませんので、これは極めて遺憾でありますし、行政組織の最終責任者として健康局長、理事、担当部長に対して厳重注意するとともに、これは私からも率直におわび申し上げたいと思っています。 また、この間、健康局として医療空白を回避するための方策を立案、その上で関係局、副市長、市長と段階を踏んで報告し、さまざまな観点から検討を加えてきたことから、結果として、議会への報告が支援スキームの提案とあわせて11月となりました。このこと自体は、大阪市のような大きな組織の業務運営のあり方として、まず業務を所管する組織での検討、立案の後、関係所属、副市長、市長と積み上げて施策を実施するという、行政組織として段階を踏んだプロセスを経る経緯が必要だったと認識しています。 ただ、拙速になっては困るものの、一日でも早く事実に基づく説明を市民の皆様にお示しすることが望ましい、当たり前のことであるというのも事実でありまして、この点においても組織の最終責任者として所属長に注意するとともに、適切なマネジメントの徹底を図っていきたいというふうに思っております。 その上で、私自身の果たすべき責務としては、これまでの市会の議論、附帯決議の議論も踏まえて、住吉市民病院跡地に医療空白を生じさせないためにあらゆる方策を考えるということが必要だと認識しておりまして、お示ししています支援スキームについても御審議、御理解いただきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 市長は、全てを把握できないということでございましたけれども、昨年の9月26日にレクを受けられていますよね。先日の委員会の資料をちょっと持っているんですけれども、26日にレクを受けられて、27日に民生保健委員会があったわけですけれども、そのときに日影規制で病院が建てられないというのを、そういったことを知らなかったのですか。市長、再質問させていただきます。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 委員会の前日に、レクを受けまして、それでその北側には、これは日影規制の関係があって建てられないということの説明がありました。その時点で、当然認識はしています。 その翌日の委員会において、市長への質疑として答弁するわけでありますが、これは僕自身がもしそこを直接に問われていたら、当然、基本的に市長の答弁調整会議というのは、僕自身が問われることをどうするかという答弁を調整する会議でありますので、そこについて、まずは当然、自分の中で考えていくということであります。 当時ですけれども、僕自身もちょっと記憶をさかのぼらせて考えているんですが、僕自身の、後の記録を見たら僕自身の前の答弁では理事者が答弁しておって、僕もそこに座っていたかもしれませんが、認識として課長答弁についてどのような中身でどのように行われるかということまで、正直、子細にチェックしているというのが、今の組織上やっぱりこれは難しいんです。それをするというのであれば、全部やっぱり確認していかなければいけないですから、だから、そういう意味でちょっと僕自身もその場で違うやんかと言ったりとか思ったような記憶もちょっとないところではあるんですけれども、ただ、課長の答弁とはいえ、そういった事実と異なる答弁を議会でするというのは、これは絶対にあってはならないことだと思っていますし、そこについては率直におわび申し上げたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 市長、日影規制で建てられないという、これが最大のポイントなんですよ。そのせいで全てずれているわけですわ。 一応、26日のレクで、市長は、早くオープンにできるように、そして厚生労働省に確認する必要がある、そう指示されているんですね。それでも、覚えていらっしゃらないんですか。知っているかどうか、それを端的にお答えください。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) ですので、前日のレクで、これは日影規制でできませんよというような説明を受けたことは当然認識しています。じゃ、それに対してどうするのと、行政のいわゆる厚労省との関係はどうする、対策はどうするのというのは、議論したということは当然認識しています。 僕がそのとき思ったのが、やっぱり当日に考えたのは、日影規制でそもそもだめというのは当初からそういうことで、基本的にもともと建築基準法でできないようなことが今まで議論されてきていたわけですから、しかも極めて基本的なところで、何でそんなことになっているのと、それに対する対策はどうするのということにまずは注目してしっかり対策を練ろうと。そして、それを早くオープンにしていこうということは言った記憶はあります。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 市長、9月27日、課長答弁のときに市長も同席されているんですよ。やはり、課長が虚偽答弁をされているわけです。言ったら、事実と違う答弁をされているわけです。そこに市長は同席されていたわけです。その後、すぐにオープンにということで27日にオープンしていただければ、またこの流れ、また議会と話し合いしながら変わっていたかもしれません。 ですけれども、我々が知ったのが11月の末であります。そして、出てきたのが市民に負担を求めるスキームで出てきたわけですよ。市民がもう既に被害者であって、しかも税金を負担しなければならない、そういうスキームを市長が出してきたわけです。 隠蔽したことについての責任は、市長、どう思われているか、お答えください。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 決して隠蔽とは思っていません。事実と異なる答弁をしたこと、これはもう率直に謝っていますのでね、これはよくないことです。議会に対して事実と異なる答弁をするというのは、これはあってはならないことだと思っています。それはそのとおり。 別に、隠蔽したというのはなく、先ほどの質問の趣旨がその案についてということであれば、これはそもそも北ではできないという状況の中で、僕が引き継いで、そして医療空白を生まないという案としてどうすべきか。今も住吉市民病院には年間約8億円の運営費を交付して、そして医療体制を整えていますが、その住吉市民病院跡地にもしっかりと民間病院を誘致し、そして、二重経営になりますので、どうしても赤字になる部分について、小児・周産期については一定の補助をして、そしてそれのサービスを受けるのはやっぱり市民だということだと思っていますので、このスキーム、医療空白を受けるのはやっぱりこのスキームしかないと思っておりますし、特にその2カ月間隠蔽したということも考えてなくて、そこはしっかりとした案をつくって議会の皆さんにお示しする、市民の皆さんにお示しするということが大事であろうというふうに思っています。 それを言うのであれば、もともとこの4月ぐらいに、たしか北ではできないということが判明して、私のところに報告があったのが9月です。6カ月間、さまざま部局としては、病院とも話をし、そして対応策を検討してきたというふうに思うんですけど、僕はそのこと自体は別に誤りだというふうには思っていません。先ほど申し上げたとおり、行政として組織の積み上げをして、そしてしっかりとした対策を考えて、それを説明していくというのが、これは大組織としてはあるべき姿だというふうに思っていますので、特に隠蔽したとは思っていません。 ただ、事実と異なる答弁をしたということは、やっぱりこれは率直に謝罪を申し上げます。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 市長、隠蔽ではないという見解ですけれども、これ、もともと4月に日影で建てられないとわかって、6月にもう大きな計画変更をされているわけですよ。そして、我々に報告があったのが11月で、9月のときに我々に報告してもらえればこんなことにはなっていなかったと思うんですね。要は、市長がその時点で、9月27日の時点で議会に報告していれば、また新たな流れになっているんじゃないか、そう言っているわけです。 そして、それに先ほどから課長がとおっしゃっていますけれども、市長もその場に、さっき言いましたけれども、おられたんですわ。だから、本来であれば、最終責任者である市長が、その場で答弁を訂正しないといけない。それが組織マネジメントじゃないですか。 改めて、市長の責任をお伺いしたいと思います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 当時、席に座っていて僕はそのとき何を考えてたかと。自分の答弁のことを当然考えるんですけど、明らかに事実と異なるときには、その時点で判断したら、僕はおかしいだろうというふうには言うと思うんですが、ただ、ちょっと先ほど申し上げたとおり、市長が全ての理事者の答弁を、逐一内容をチェックしながら聞き耳を立てて聞いているかというと、そこは正直これは難しいです、申し上げておきます。僕自身ももちろん、中身の大切さについては、それは当然、行政組織としての答弁だから、最終的にはやっぱり行政としての答弁、そして最終的には市長の責任ということになります。ですので、事実と異なる答弁をしたというのは、これは僕は問題だと思っていますし、僕自身もこれは率直におわび申し上げたいということに変わりはありません。 ただ、今後の質疑、答弁においても、僕も議員のときは委員会の一つに所属し、そしてそれに集中してやれましたが、今、86人の皆さんがされていることを今、一人でこの委員会についてやっていると。その中で、行政組織の答弁について、課長が答弁、その答弁の内容を逐一チェックしてその真実性を把握してというところまでのこの業務というのは、事実上これはやっぱりできません。 ですので、組織に対しては、事実と異なる答弁は絶対にだめだよということは、これは当然指示しますし、今回についてはやっぱりこれはおかしかったというふうには思っていますが、ただ、全部これからも把握しろと言われれば、ちょっとそこは事実上難しいだろうなと。 ただ、その課長の結果については、これは事実と異なる答弁をしたということについては、僕は問題だと思っていますし、それについてはおわびします。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 最終責任者として、あくまで課長の答弁で自分は全てはわからないと、把握できないということであったわけですけれども、それは単なる責任転嫁じゃないですか。隠蔽よりもたちが悪いと、つけ加えておきます。 最高責任者として当然の判断すらできない市長に、リスクマネジメントなんて語ってほしくありません。いまだに民間病院の全体計画が出ていない、日影だってとっくの昔にわかっているじゃないですか。最初から、この問題は課題だらけなんですよ。きょうは時間が足りないので、以降は予算委員会で我々は徹底的に追及していきます。 次に、総合区制度についてお伺いいたします。 我々は、総合区制度について、行政が進める意見募集・説明会とは別に会派として独自に説明会を開催し、市民の皆さんの声を直接お聞きしましたが、そこでは合区は絶対にやめてほしいという声が圧倒的でありました。この市民の皆さんの声を受けて、まずは現在の24行政区を総合区とし、必要な合区は別に議論すべきであるとの提言を作成し、市長にお示しさせていただいたわけであります。 しかしながら、市長は、二元代表の一翼を担う市民の代表である我々議員が市民の声を直接伺って作成した提案の内容を無視されました。意見募集・説明会でも、24区のままがよい、すなわち合区をしてほしくないという意見が多く見られました。意見の多寡は考慮しないということでございますが、やはり意見募集・説明会で多く出された意見については、市民の貴重な意見として尊重すべきであります。 合区をすることにかかる多大な時間と労力、一度合区すれば簡単には変更できないというリスクを考えると、そういった課題を最小限に抑えることこそがリスクマネジメントではないでしょうか。 合区を前提に絞り込んだ一般市並み8区という案ではなく、合区は別の議論とし、まずはすぐにでき、リスクが最小になる24区総合区から進めるべきではないでしょうか、市長の御所見を伺います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、責任転嫁ということですけれど、責任転嫁するつもりはありません。課長も私の部下ですから、課長が行った、事実と異なる答弁したというのは、最終的には僕の責任です。その点については、実際の事実と異なる答弁をしたということは率直におわびします。ただ、局のそれぞれの質疑については、それぞれ「局議」というのをやって、それが最終決定としてやっていきますんで、まずはつかさつかさでやってもらわないといけませんし、それは、徹底してもらわなあかんと思っています。僕自身が一個一個チェックはできないですけれども、ただ、課長も僕の部下ですから、最終責任は僕です。 それで、総合区の話ですが、それからありました市民の皆さんが合区は絶対にやめてほしいという圧倒的な声があったということですが、これは自民会派の皆さんが開催された説明会ですので、そうなると思います。 恐らく、都構想を推進する維新会派が集会を開催したら、ものすごい高い確率で都構想をやってくれということになると思いますが、それはすなわち市民の声ではないと、市民の声イコールになるものではないと思っています。行政が行った意見募集・説明会では、新たな大都市制度についてさまざまな御意見もいただきました。これは、意見の多寡にかかわらず、寄せられた意見を制度づくりの参考にさせていただきたいと思っています。 24区の総合区案から進めるべきじゃないかという御指摘ですけれども、総合区の導入に当たっては、きめ細かい行政サービスをみずから実行できる体制をそれぞれの区に確保させていかなければならないと思っています。区長が、マネジメント力を最大限に発揮できる仕組みにしなければならないというふうに思っています。こういった体制が確保できなけりゃ、結局、地域の実情に応じた行政サービスを、より住民に身近な区役所で実現するということができないわけですから、それは総合区の趣旨にそぐわないと思っています。ですので、総合区の導入においては、効率性の観点も含めて合区を前提とした案をお示ししています。組織体制は、しっかり整えるということです。 さきに示した総合区の概案ですが、11区の場合であっても相当数の職員の増が見込まれます。合区による集約効果が見込めない24区について、さらに多くの職員の増加が見込まれることになり、それをすることは大きなリスクになると思っています。人件費のコスト増の観点からは、現実的ではないと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 傍聴人に申し上げます。傍聴席での発言は固く禁止されておりますので、静粛に傍聴願いたいと思います。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 今の答弁を聞いていると、総合区の目的、趣旨がわかっておられないのではないですか。市民生活の向上に向けた行政サービスのあり方について、効率性やコストだけで判断するものではないはずです。それぞれの区民が、自分の区を大事にしたいという思いをどう考えておられるんでしょうか。今の市長の答弁からは、住民本位の自治体制ではなく、上から目線の改革に名をかりた統治体制を構築しようとする単なる制度いじりにしか聞こえません。 次に、法定協議会の設置についてお伺いいたします。 今定例会に法定協議会の設置議案が上程されました。市長は、一昨年の市長選挙で民意を得たから、特別区設置に再チャレンジすると言われていますが、究極の民主主義である住民投票において否決されており、特別区の議論は終わっております。法定協議会を設置する意義は全くないと、改めて申し上げておきたいと思います。 そもそも、住民投票で賛成多数となり、大都市法に基づく総務大臣の告知が出された場合には、その後に特別区設置の反対を訴える市長が当選したとしても後戻りできないのに対し、反対の結果が出たならば何度も挑戦できるというのでは、明らかに主権者の意見を無視するものであり、制度的にできたとしても、道義的には絶対にやってはいけないことであります。 市長は、最終的には道州制を目指されていたと思います。初めに申し上げました大阪府の地方分権改革ビジョンでも、道州制を目指すことが明記されています。道州制を目指すのであれば、特別区という寄り道をせずに、まずは関西広域連合の機能を強化・拡充し、その上で将来的には大阪府を発展的に解消し、関西州としてより広域に特化した事務を担うことを目指すべきではないでしょうか。市長の御所見を伺います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、住民投票で否決になったということですが、それはそのとおりであります。今回、ですので今、案はありません。しかしながら、その5月の住民投票の後、半年後の首長選挙においても、僕自身も新たな案をつくらせてほしいということを訴えさせていただいて、多くの市民の方の御支持を得たのも、これまた事実であります。ですので、それに基づいて新たな修正をする案をつくらせて、その手続をやらせてくださいというのは、何もおかしいことではないと思っています。 それから、この住民投票の結果で何度でもできるというふうにおっしゃいましたが、もう一度するとしても、やっぱりそれは住民投票が必要になります。この住民投票というのは、市民の皆さんがやっぱり一票一票それぞれ考えられて投じられるわけですから、それは非常に重たい。そして、それによって結果が左右されるわけであります。その時々によって、その結果が異なるものじゃなくて、これはしっかり市民の皆さんの理解を得てこれでいこうと言えるものでなければ、やっぱりこの案は通らないし、否決されるものだと思っています。 だから、住民の皆さんは、1票を投じるに当たって非常にそれは考えられ、そしてその投票行為ということについては重たいと思っていますので、何度でもできるじゃないかと、そんな軽いものではないというふうに捉えております。だからこそ、この手続をした上で、最終の判断権者である住民の皆さんに御判断をいただきたいというふうに思っています。 それから、道州制についてですが、これも道州制は長い目で見て進めていくべき課題だというふうに認識しています。ただ、これは、僕自身も国会議員になって思いましたが、国の自民党さんは、特に道州制についてやる気はありません。表では言いながらも、これは憲法審査会のときだったと思うんですが、道州制についても反対だと。いわゆる、日本の将来のあるべき統治機構について真剣に考えている、そういったことは、今の自民党さんには僕はないと思っています。議員も、自民党に所属されていると思いますので、そうであるならば、まず道州制に向けた法整備というのをしっかりと、もうこれは過半数持っているわけですから通そうと思えばすぐに通せますので、それをぜひ働きかけていただきたいというふうに思います。 ただ、僕は、それはできないと思っています。今の国会議員にやる気はありません。現に、国において道州制に向けた検討、法整備というのは進んでいませんし、それに向けた都道府県を廃止する法律もありません。 一方で、大阪のこの課題というのは、これは随分前から言われてきた課題でありますし、東京一極集中が進む中で、大阪の都市機能を強化させていく、住民自治をさらに拡充させていくというのは、これはやらなきゃいけないことだというふうに認識しています。だからこそ、選挙でも訴えたんです。法律で既に定められている制度である大都市法に基づく制度、それから地方自治法に基づく総合区制度、これについて検討していくべきものだと思っています。思考停止にならないようにしていきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 我々は、この大阪から、やれることからきっちりやっていこうということを言っているんです。きょうの質問の中でも出てきましたが、大阪府の危機的な財政状況では、全く広域としての機能を果たしていません。であるならば、大阪府を解消する、府内の市町村に権限・財源を移譲するというのは、大いに結構なことであります。 冒頭にも申し上げましたが、改めて申し上げます。将来の道州制のもとで消滅する大阪府に、大阪市の権限を奪われるというのは、全くの矛盾であります。 次に、地下鉄の株式会社化についてお伺いします。 8号線の未着工区間については、BRTによる需要の喚起・創出及び鉄道代替の可能性を検証するための社会実験を実施するとのことであり、このたびの平成29年度予算案にも、検討調査費と車両購入、システム改修費等の債務負担が計上されているところであります。 しかしながら、予算だけ計上していても、実際にどのようなルートで、どのような運行頻度で実施されるのかわからないため、市民はイメージができません。 8号線未着工区間の需要喚起策として有効な社会実験になるのか、具体的な運行計画を見せていただきたいと考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 8号線の未着工区間についてですが、大阪市鉄道ネットワーク審議会の答申において、収支の見込みが極めて厳しくなるということが想定されています。事業化のためには、需要の喚起・創出が必要というところだと思います。 一方で、平成22年に議会で早期整備を求める決議が全会一致で可決されたことの重みも含めまして、近畿地方交通審議会の次期答申に盛り込まれるようには、積極的に努力していきたいと思っています。 それらを踏まえ、また昨年8月の自民会派さんからの申し出もございましたことから、8号線の未着工区間の事業化方策である需要の喚起・創出を主目的として、交通局に対してBRTの社会実験が有効となるように検討を指示しているところであります。 交通局からは、具体的な検討内容として、運行ルートは今里から湯里六丁目を基本としながらも、起終点については、交通ネットワークのアクセスが向上し、より効果的に需要の喚起・創出が図れるよう柔軟に検討すると、運行本数及び運行時間帯は、今里筋線に近づけ一定の間隔で運行するパターンダイヤにするなど利便性を確保すること、それから停留所の間隔は、地下鉄駅並みの間隔約1キロとすることで速達性、利便性を確保すること、また使用する車両や停留所は今里筋線のラインカラーであるオレンジを施すなど、一目でBRTとわかるようなシンボル性を持たせることなどがあるということを、報告を受けているところであります。 上程中の廃止条例案などを可決いただき、基金や新たな部局が設置されれば、速やかに検討を本格化させて、この社会実験が8号線の未着工区間における需要の喚起・創出の効果を上げられるよう努力していきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 交通局から報告を受けているということですが、市長の主体性が全く見えません。速やかに検討を本格化させではなく、検討内容を具体的にお示しいただく必要があると申し上げておきます。 次に、バス運転手の確保策についてお伺いします。 11月の一般質問において、我が会派の太田議員から、バス運転手の確保策についてお伺いしたところ、市長から、大型二種免許を持たない方を対象としたバス運転手教習生を採用すると伺いました。このバス運転手教習生の採用は、全国的な大型二種免許保持者の不足、BRTの社会実験の要員確保といった問題解決のために、ぜひとも成功させる必要があると考えております。 現在のバス運転手教習生の採用に向けた取り組み状況と採用後の育成体制について、交通局長にお伺いいたします。 ○副議長(加藤仁子君) 塩谷交通局長。     (交通局長塩谷智弘君登壇) ◎交通局長(塩谷智弘君) 交通局におけますバス運転手教習生の採用状況につきましては、昨年11月1日に募集要項を公表いたしましたところ、108名の応募があり、選考を経まして4月採用予定の20名を確保したところでございます。続きまして、7月、10月採用につきましても、2月16日に募集要項を公表したところであり、平成29年度中に、合わせて60名の採用を確保していきたいというふうに考えております。 また、大型二種免許を所持していない採用者を、市民、お客様に安心して御乗車いただけるプロのバス運転手へと育成するため、専用の養成施設や専任の教習体制を整備することといたしております。 この採用、育成の取り組みを軌道に乗せていくことによりまして、大阪市内のバスサービスを支えるバス運転手を安定的に確保してまいりたいと考えております。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 我が会派は、これまで株式会社後の新会社の収支、経営基盤については、退職金制度の問題や資金不足のリスクなど、さまざまな懸念を指摘してきました。 先日、市長は、阿倍野再開発事業の検証結果を受けて、リスクマネジメントの欠如があった、無責任体制を反省すべきだと述べられたようです。住吉市民病院の廃止・統合においても、市長を筆頭に組織を挙げた隠蔽で大混乱を来し、市民に負担をもたらそうとしています。 地下鉄の株式会社化に関する基本的な方針は、もちろん、我が会派も賛成しております。ただ、プランを具体化するに当たり、市長の進め方を見ていると、まるで民営化すること自体が目的となっており、どうすれば最も市民のためになるか、また、このままで市民に不利益、負担をもたらすリスクは本当にないのかといった検証が不十分ではないでしょうか。 このまま早急に進めていくのは、それこそリスクマネジメントが欠如していると思いますが、市長の御所見を伺います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 地下鉄の民営化、株式会社化についてですが、これはもう關市長のころから議論が始まり、これまで議論を積み重ねてやってまいりました。そして、昨年、自民さんも入れた3分の2以上で基本方針が可決されたところであります。議論は大詰めに来ているというふうに認識しています。 これまで、議会議論を通じて御指摘ありました退職金や資金不足の件については、基本的には現行法制度の中で対応可能であると考えておりまして、既にこれはプラン案でもお示ししています。 一方、リスクマネジメントについてですが、自民会派から12項目にわたるお申し出の中にも、企業債などに関して大阪市の財政へ影響を与えないことというのが挙げられていますから、地下鉄事業の株式会社化に当たっては、新会社の収支と合わせて一般会計の収支に与えるさまざまなリスクも踏まえながら、市民の不利益、負担とならないよう検討してきたところです。 今後、仮に状況変化があったとしても、市民負担を発生させないことを大原則に、株式会社化を実現してまいりたいと考えていますので、御賛同くださいますようよろしくお願いします。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 立ちどまるという英断をされないのでは、リスクマネジメントとは言えないのではないでしょうか。住吉市民病院と同じ轍を踏むことは、あってはならないと思います。 公衆浴場についての質問は、飛ばさせていただきます。 次に、健康安全基盤研究所についてお伺いします。 我が会派は、グローバル化が進展する現状の中で、健康危機事象に効果的かつ迅速に対策を講じる重要性が格段に増している中で、行政権限行使の裏づけとしての環境科学研究所を市の直営で残す必要性を再三指摘し、大阪市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合・独法化については、一貫して反対の立場を貫いてまいりました。 にもかかわらず、独法化という手法を用いて統合し、機能強化を図るといううたい文句で統合・独法化を推し進め、平成29年度予算では、統合施設の建設を前提とした基本計画策定経費を盛り込んでおられます。 しかし、9月市会で示された中期目標にも、具体的な機能強化策は示されていませんでしたし、年内に示すと市長がおっしゃっていたにもかかわらず、いまだに示されていません。これも隠蔽ですか、市長。 さらに言えば、機能強化のための予算計上は、府市合わせてわずか8,000万円であり、これも口だけで全く実効性のある数字にはなっていません。新施設の建設には、概算で100億円ほどの巨額の建設費が必要とされております。仮に折半なら、大阪市の負担が50億円となります。たかだか8,000万円程度の機能強化のために、これだけの負担を負わされるというのは、とても市民へ説明ができないと思います。 環境科学研究所を統合・独法化せず、50億円かけて機能強化をしていれば、それこそ府下全域の健康危機事象に対応できるほどのすばらしい研究所になっていたことは、想像にかたくありません。口だけの機能強化でごまかして、大阪市の負担だけを増大させた責任をどう考えているんでしょうか。市長の御所見を伺います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、大阪には、市立の環境科学研究所と府立の公衆衛生研究所といった規模、機能面で拮抗します2つの地方の衛生研究所が存在していますが、これについて独法化という手法を用いて統合し、機能強化を図ることで、大阪全体で起こり得る健康危機事象に積極的に対応する仕組みをつくっていく、市民・府民の健康と安全を守るという非常に重要な役割を果たす地方公衆衛生研究所になるというふうに確信しているところであります。 それぞれの両研究所の統合・独法化、これ自体はコスト削減が当然目的ではありません。統合によるスケールメリット、これを生かした上で、機能強化を効果的、効率的に図っていくと、大阪全体の公衆衛生レベルを上げていくということであります。 今回、所要予算案として、その具体的な案はお示しすることになったところでありますので、案を示していないということではありませんので、よろしく御審議くださいますようお願いします。 それから、施設の一元化については、統合効果を最大に発揮して、迅速・的確に対応するという、まさに両研究所の強みを生かすという意味で、この施設の一元化というのは必要不可欠であると思っていますし、これは最終的には市民にも返ってくるというふうに思っています。 さまざま、グローバル化が進みますんで、いろんなものがこの大阪、国境を越えて入ってくると、大阪市と大阪府の枠、そういった線を越えて細菌・ウイルスというものも、これは当然いつ入ってきてもおかしくないというような状況の中で一日も早く、--東日本には核となる東京都の健康安全研究センターがあります。--それに匹敵する西日本の中核となる公衆衛生研究所、これを目指して、安全・安心を図っていきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 大阪府の地方分権ビジョンで目標とされ、市長も目指されている関西州が実現した場合、設立団体の変更などで大きく影響を受けるという将来リスクまであります。百害あって一利なしであることが予算からも読み取れた今こそ、見直しを図ることがリスクマネジメントであると申し上げておきます。 次に、府市の港湾管理一元化についてお伺いいたします。 さきの9月市会に市長から提案された関連議案は、行政委員会の共同設置を軸とし、それを補完する制度を組み合わせて提案されていますが、行政委員会の共同設置は、過去に市会として二度も否決しております。提案の中で、行政委員会の本質は何も変わっておりません。 また、府市港湾局の共同設置に関しても、港湾事業はそれぞれの港が独立して行っていくのですから、組織を一元化する意味は全くありません。 我が会派は、府市の港湾管理について、府市が連携することを否定するものではありません。しかし、今の大阪港にとって最も大切なことは、港湾管理の一元化といった枠組みの議論ではなく、国際コンテナ戦略港湾や、フェリー・クルーズ客船誘致のための取り組み、あるいは南海トラフ巨大地震対策でございます。 そういった意味で、大阪府よりも神戸港との連携、阪神港の取り組みに注力すべきだということも、以前から再三再四、申し上げていることでございます。本当に大切なことは何かということを見失わないでいただきたい。 これ以上、府市の港湾管理の一元化にこだわって、無駄に時間、人材、予算を使うのではなく、もうすっぱりと諦めるべきではないでしょうか。市長にお伺いいたします。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 大阪の港湾については、近年、アジア諸港の台頭によりまして、世界の港湾における大阪湾諸港の地位が相対的に低下している現状ということで非常に憂いて、強い危機感を持っています。そのために、まず大阪港、大阪湾諸港の港湾管理の一元化が必要だというふうに考えていまして、第1ステップとして、昨年9月に府市の行政委員会の共同設置を軸とします港湾管理の一元化に関する関連議案を提案したものであります。 その関連議案のうち、連携協約につきましては、さきの市会で御同意いただいて、12月に既に大阪府と締結したところです。これによって、府市の理念の共有をすることはできるものの、その理念を実現するためには、行政委員会及び府市港湾局を大阪府と共同で設置する必要があると考えています。組織をもって実行しなければなりません。共同設置に当たっては、大阪市が幹事団体となって運営していくこととしています。 私としては、これらの各制度をトータルで機能させることで、府市港湾管理の一元化の効果が最大限に発揮されるというふうに考えています。神戸港との関係につきましては、府市の港湾管理の一元化の効果を示すことが、大阪湾諸港の一元化への働きかけの近道であると思っています。 ただ、当然、一方で阪神港として、国際コンテナ戦略港湾については、引き続き国の支援も得ながら、神戸港との連携を強化していきます。国際コンテナ戦略港湾、クルーズ客船の誘致、防災対策、そういったことを推進するのは当然でありますが、府市港湾管理の一元化についても、まさに待ったなしの状態だと思っておりますので、今すべきこと、これを先送りすることなく実行していって、強い大阪湾諸港をつくっていくというのが、課せられた義務であると思っていますので、それを実行していきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 阪神港としてともに国際コンテナ戦略港湾に取り組んでいる神戸港では、コンテナの取り扱い量が伸び、阪神・淡路大震災以前の取り扱い量に近いところまで回復していますが、これは兵庫県との連携による成果ではなく、神戸市が本来やるべき施策に真摯に取り組み、みずから出した結果であります。 大阪市も見習って、一刻も早く必要な施策に取り組んでいただきますよう要望いたします。 次に、公募制度についてお聞きいたします。 昨年、11月29日の一般質問において、我が会派の太田議員より、公募制度は否定しないが、外部公募区長が改めて公募に応募する場合は、大阪市がていのいい再就職先にならないよう初回より厳しく見るべきで、2回目の任用は真に評価される優秀な人材に限定されるべきである旨、申し上げたところでございます。 先日、区長、局長公募の結果が公表され、外部から3名、内部から10名が合格されましたが、内部からの合格者10名のうち半数の5名は再度応募した外部人材でありました。 今回、再度合格した公募区長の区において、委託先社員による窓口手数料の着服事案が報道されました。こんなことで、任期中の実績や組織内外からの評価もしっかり踏まえて選考した結果と考えていいのでしょうか。結果を見る限り、仮に行政のトップとして適性に欠ける部分があっても、また、たび重なる問題を起こして懲戒処分を受けていても、プレゼン能力や論理的な説明力さえあれば何度でも選ばれてしまうのではないかと疑念を抱かざるを得ません。地域の声を聞いても、特に区長に求められる資質は、論文や短時間の面接だけで判断できるようなものでは決してないと日々実感しております。 近年、外部からの応募者は減少し、外部合格者には辞退や任期中の解任等の可能性もあるのですから、これからは市政をしっかりと牽引していくことのできる内部職員の育成に本腰を入れて取り組むべきではないでしょうか。公募制度の維持にとらわれ、安易に外部人材の登用を繰り返すのではなく、民間人材の登用は本当に必要なポスト・人材に限定し、これからの市政を担える行政のプロを、長期的な視点でしっかり育成していくことを、真剣に考えるべきではないかと思いますが、市長の御所見を伺います。 ○副議長(加藤仁子君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、幹部職員を公募しますことにより、この任用過程を外部化、客観化して、内外の人材が同じ土俵で切磋琢磨することで、よりよい人材の登用に努めて、組織の活性化を図ってきました。これからもやっていきます。 任期満了に当たって、ほかのポストへの応募を認めることは、優秀な人材を確保していくという観点からも必要であるというふうに考えていますが、選考においては、ほかの応募者と同じプロセスを必要とし、厳正な審査を行っています。 今回、再度合格した者については、当然、任期中の取り組みや組織運営の状況、実績なども総合的に考慮した厳正な選考の結果、合格されたのであります。これまでの経験や実績を生かしながら、また新たな職での活躍を期待しています。 公募制の導入によって、この5年間で組織、大阪市役所という組織に民間視点や経営感覚が注入されて、大きく変わってきたと思います。それは、内外の人材が切磋琢磨する環境を構築したということもありますが、内部職員自体の意識も大きく変わってきたと思っています。これによって、能力も向上していくものというふうに考えています。 質の高い市政運営を推進し続けていくためには、行政のプロといわれる人材を長期的な視点で育成していくことが重要であることは、もちろんそのとおりであります。そのためにも、公募を通じて区長、局長職、いわゆる幹部職員には、組織内外から多様な人材を任用することで組織の活性化を図りながら、これからの市政を牽引していく行政のプロが、この大阪市役所の職員の内部として育っていってもらいたいと期待していますし、そういった人材の育成を推進していきたいと思っています。 ○副議長(加藤仁子君) 山本長助君。     (24番山本長助君登壇) ◆24番(山本長助君) 具体的な基準も示されていないですし、情報も公開されないまま決定されております。以前から指摘した部下からの評価は考慮されていないし、答弁にあった任期中の実績も考慮したとは思えない結果であったと感じています。 最後に申し上げます。選択と集中の観点から見ると、大阪府内を力強く発展させるためには、政令市である大阪市を強化することが、一番合理的であるのは明らかであります。また、大阪市は、昼間人口の比率は東京都より高いのですから、普通に考えれば、大阪市を強化することが、府域だけではなく関西圏にも好影響を与えることになります。他の政令市と比べ、大阪市だけが突出して悪く、大阪府とともに停滞しているのは、普通に他都市で行われている政策をおろそかにしただけであって、単なる取り組みの差であります。 大阪市は、廃止の議論と機能強化の総合区の議論が並行して行われております。一方、大阪府は、将来みずからを解消するビジョンを掲げておきながら、大阪市の権限を奪おうとしています。全く一貫性のないこの状況が、取り組みの差による停滞を生み出したのではないでしょうか。 今回は触れませんでしたが、バウチャーを含む特別区になれば到底維持できないようなばらまき施策に予算をかけながら、経済対策など重要な施策に予算をかけていない現状では、選択と集中がむなしく聞こえてなりません。 特別区設置、魅力がないんでしょうね。全国でほかにどこも検討しているところ、ありませんわ。そんな結論の出たことを蒸し返すのではなく、大阪市が政令指定都市の強みを生かし、他都市がお手本とするような、口だけではない実効性のある施策を行っていただきますことを強く要望しまして、詳細は予算委員会に譲ることとし、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(加藤仁子君) お諮りいたします。この際、暫時休憩をすることに決して御異議ございませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(加藤仁子君) 異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後2時22分休憩     午後3時再開 ○議長(木下誠君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君の質疑を許します。 52番杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、平成29年度予算案並びに関連諸案件等について質問させていただきます。 かつて商人のまちとして栄えた大阪は、進取の気性に富み、明治時代に商工会議所や保険会社を設立、近年は回転寿司やスーパーマーケット、またコンビニエンスストアなど時代を先取りしたアイデアは、新たなスタンダードを生み出し、日本の商業をリードしてきました。例えば、最近は「ごちそうさん」、「あさが来た」、「真田丸」など、NHKのドラマにもしばしば大阪が舞台に取り上げられました。 暗いニュースが多い中、苦難に対しアイデアとバイタリティーで挑戦する大阪人の姿は、全国に感動と共感を呼んでいます。さらに、明るいニュースとして、昨年、大阪を訪れた外国人観光客は941万人と、4年連続で過去最高を更新し、また、IRや万博を含めた夢洲のまちづくり計画が動き出すなど、大阪は、今まさに正念場を迎えています。 吉村市長におかれましては、大阪市をさらに発展させるため、成長に向けての施策を着実に実行していただき、かつての大阪の輝きを取り戻していただきたいと考えています。市民ニーズに的確に対応し、それを大きく拡充させ、大阪の成長を牽引していくという観点から、以下、具体的に質問させていただきます。 まず、統合型リゾート、いわゆるIRに係る取り組みについてお伺いします。 昨年末に、IR推進法が成立し、この4月からの府市共同設置によるIR推進局の新設は、ギャンブル依存症などの課題に対するものも含め、IRに関するさまざまな事項を、迅速かつ効率的に検討していくためのものでありますとの説明がありました。IRの国への申請には、最終的に議会の同意を必要とするとの国会の附帯決議もあることから、現状はあくまで検討段階と言えますが、IRについて市民に正しく理解されていないように感じています。IRに含まれるカジノに関し、ギャンブル依存症や青少年への影響、治安対策など多くの課題があり、それらに対する市民の不安を払拭することが必要です。IRの内容を正しく御理解いただき、IRが実現した場合には、どのような施設が立地し、どのようなメリットやデメリットがあるのかについては、大阪の市民や企業にとって、目に見える形で具体的に示していくことが重要でありますが、どういったものをお考えでしょうか。 大阪市として、IR誘致を積極的に推進していくのであれば、それらの点についてわかりやすく取りまとめ、十分な説明を行い、市民の理解を深めていくことが何よりも重要であると考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 理事者の答弁を許します。 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、統合型リゾート(IR)についてですが、これはあたかも夢洲にカジノ施設だけが来るかのように誤解されている方も多くいらっしゃると思います。それは仕方がないと思います。メディアもそのような報道のされ方をしてますし、一部そういったことを積極的に主張される方々もいらっしゃいます。 しかしながら、IRにはカジノ以外にどういった施設があるのかについて、正しく御理解いただく、そして、夢洲に立地することで市民にどういったメリットがあるのかというのをわかりやすく示していくということが、非常に重要であると思っています。 一方で、課題としてのギャンブル依存症対策、治安対策等の対策についても、これはIR推進会議で有識者とか専門家も踏まえて、具体的に立案して、これを具体的に示していく、説明していく必要があるというふうに思っています。そこが非常に重要だと思っています。 経済効果については、先月公表した夢洲まちづくり構想案での想定、いろんなところでいろんな想定があるんですが、大阪市が発表した想定としても、核となります1期の70ヘクタールにおける民間開発によって、近畿圏において、建設投資による波及効果、経済効果は7,600億円、それから、雇用の創出効果は5.1万人、運営によって生じる波及の経済効果、これは年間6,900億円、雇用創出効果が年間8.3万人というふうに試算しているところであります。 IRの運営段階においてですが、物品とかサービスの調達に関しても、これは、地元の中小企業を含む地域の事業者に発注されるというのが一般的であります。また、相当規模の税収が見込まれます。もちろん、これは市民のサービスに回るということになります。そして、大阪の成長に回っていくということになります。 詳細につきましては、今後、措置されます、いわゆるIR実施法の内容にもよりますけれども、IRに関して、別途国や地方公共団体への収入として納付金、これも見込まれます。その使途は、観光や地域経済の振興といった、いわゆるIR推進法1条を踏まえた形が想定されているところであります。ですので、広く大阪市民、企業の方にプラスの効果が及ぶというふうに考えています。 ただ、一方で懸念されるデメリットの対策、これが何より重要だというふうに思っています。ギャンブル依存症対策、青少年への影響、そして治安対策、そういったところについては、IR推進局を設置しますが、部局も整えていきます。IR推進会議においては、専門家も交えてしっかりとその課題を克服すると、そしてメリットを最大限に引き出す、そして大阪の成長を目指していくということをやりたいと思っています。その中身については、市民に還元される仕組みも含めまして、しかるべき時期にお示しできるように努めていきたいと思っています。 それから、ギャンブル依存症対策については、早急に法律を制定してもらいたいと思っていますので、国に対して、可及的速やかに依存症対策についての法案を出してもらえるように、積極的に働きかけていきます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、万博誘致活動についてお尋ねします。 国においては、現在、基本構想案の検証を行いつつ、閣議了解と国としての立候補に向けた検討を進められています。また、今月中には、官民共同の誘致委員会が設立され、誘致活動が本格化していくと聞いています。 海外向け招致活動の効果的な推進が、非常に重要だと思います。万博を確実に誘致できるよう取り組んでいかなければなりません。万博誘致決定は、BIE加盟国168カ国の投票で決まるということなので、相当な戦略を持って臨まないと、誘致をかち取ることは容易ではないと思います。 特に、万博のテーマについては、万博のイメージをあらわす非常に重要なものですが、基本構想のテーマの健康・長寿は、必ずしも多くの諸外国から共感を得られるものとは言えず、BIE加盟国に幅広くしっかりとアピールできるものでなければなりません。 先日の国の検討会においては、当初の基本構想から方針転換がなされているようですが、市長はどのように感じておられるのか。 また、2018年秋に開催地が決定予定ということであれば、誘致活動期間も限られています。BIE加盟国が開催する国際的イベントに関する情報を収集し、プロモーションの機会として活用することも必要です。これから本格的な誘致活動に取り組んでいくわけですが、効果的で実効性のある戦略的な誘致活動についてどのように考えておられるのか、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 万博の誘致については、経団連の会長であります榊原会長がトップとなりまして、誘致委員会が間もなく設置される見込みです。私自身もそのメンバーに入ります。オールジャパン体制で、官民一体となった誘致活動を本格始動させていきたいと思っています。 誘致委員会における誘致戦略の柱としては、海外プロモーションと国内の機運醸成を掲げています。国や地元自治体、経済界、それぞれの役割分担を明確にしながら、ともに連携して外部の有識者の意見もいただきながら誘致に取り組むということにしています。 万博のテーマについては、議員御指摘のとおり、国の検討会において、新たに4つのテーマ案が示されております。そのうち、私は、これはもう、私も検討会で意見もしたんですが、未来社会をどう生きるかという、このテーマがよいと感じていますが、いずれのテーマもこれまで大阪で積み上げてきたテーマを含有するものだというふうに受けとめてます。今後、国において誘致をかち取るためにも、最もふさわしいテーマが国において決定されるというふうに考えています。 また、誘致活動としては、プロモーション戦略として、加盟国が一堂に会するBIE総会や、本年6月にカザフスタンで開幕しますアスタナ国際博覧会において、大阪・関西の魅力をアピールするなどの誘致活動に加えて、本市としてもビジネス交流の機会などを活用したプロモーションについて検討していく、効率的で効果的な誘致活動の展開に努めていきたいと思っています。 誘致活動は短期決戦でありまして、先に立候補を表明しましたフランス・パリは、その都市格から見ても非常に強敵ではありますが、大阪市としても国、それから大阪府、経済界としっかり連携して、オールジャパンの体制をもって、この強敵のパリに誘致レースで勝っていきたい。ぜひとも勝利したいというふうに思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 開催地が決定する2018年秋は、目前に迫っています。市長が持つあらゆるチャンネルを使って、さまざまな機会を活用した積極的なプロモーション活動を求めます。 次に、万博開催経費についてお尋ねします。 万博開催経費は、昨年、国に提出した基本構想の試算額では、会場建設費1,200億から1,300億円程度、運営費690億から740億円程度、関連事業費として地下鉄中央線の延伸などインフラ整備として730億円となっており、合計で約2,800億円になります。このほかにも夢洲1区の利活用は、要精査となっており、現時点では、経費は明らかになっていません。 また、来場者の見込みが3,000万人となっており、その輸送計画については、経産省の検証においても、渋滞問題などの課題が挙がっており、その対策には経費が発生することが考えられます。こうした経費が、積み重なることによって、2,800億円という金額は、さらに大きく膨れ上がり、東京オリンピックのように、大幅な上振れが発生するのではないかと懸念されるところです。 万博開催経費の費用負担は、国や大阪府、経済界もそれぞれ応分の負担をすると思いますが、そもそも地方負担額について、過去の愛知万博の例からしても、府市で折半するという考え方には疑問を感じております。ましてや、全体額が大幅に増加した場合には、本市の過度な負担が懸念されます。市長はこうした開催経費の上振れについては、どのように認識されているんでしょうか、お答えください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 万博開催の経費についてですが、昨年12月に設置されました2025年国際博覧会検討会において検証されておりまして、会場建設費に関しては、先月開催された検討会において、基本構想案に示す1,300億円程度の範囲内におさまるという評価でした。また、夢洲1区の利活用について、メガソーラーを活用した会場計画となれば、1区の利活用に係る要精査となっている経費についても最小限になるというふうに考えています。 もちろん、議員御指摘のとおり、さきの国の検証において、会場建設費や輸送計画、運営費など今後検討すべき項目が掲げられているところであります。万博開催の経費については、これから会場計画や交通アクセスなどについても詳細な検討を行っていきますが、経費が上振れする可能性についても十分留意しつつ、国や府とも連携して、適切にマネジメントしながら進めていくことが大切であると考えています。 いずれにしましても、万博開催は相当な経費を要する事業でもありますので、議会に対しても適時適切に御説明させていただくとともに、トータルコストの抑制に努めて、最大の効果が上がるような万博を目指して取り組んでいきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、新美術館についてお伺いします。 先月、設計コンペの最優秀案が公表され、新聞やテレビでも大きく取り上げられました。これは、市民の関心の高さを示すものであり、目に見える形で具体的な一歩が踏み出されたことは、長年経緯を見守ってきた私にとっても、大変感慨深いものがあります。 先ほど質問しましたIRや万博の誘致も、大阪を世界にアピールする取り組みだと思いますが、その前に開館する新美術館こそ、国内外の観光客が数多く訪れる施設として、また、子供から年配の方まで幅広い世代の人が楽しめる施設として、高い志を持って取り組みを進めてもらいたいと思います。 私は、先月、新潟県立近代美術館を視察してきましたが、魅力的な展覧会の開催や貴重なコレクションの収集など、美術館の運営には、やはり学芸員の役割が重要であると再認識しました。新美術館の運営には、PFI手法を導入する方針と伺っていますが、本市学芸員が責任を持って実施すべき部分と民間ノウハウの導入による効果が期待できる部分があると考えられ、事業者のモチベーションにつながるインセンティブも工夫しつつ、しっかりと検討してもらいたいと思います。さらに、2021年度の開館に向けては、施設整備や運営手法の検討に加え、事前の準備業務を本格化していく必要がありますが、ここでも学芸員が果たす役割は大きいと考えられます。 いずれにしましても、新美術館が大阪の新たな文化観光拠点として世界からも注目を集める施設となるよう、重点的な取り組みが必要と思いますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 新美術館につきましては、優秀な設計提案を広く国内外から求めるために、設計コンペを実施しました。その一環として、設計者によるプレゼンテーションを先日中之島の中央公会堂において公開で実施しました。公開でのプレゼンテーションの実施というのは、本市としては初めての取り組みでありますが、その様子を多くの市民の皆さんにごらんいただくことで、新美術館の魅力を改めて認識いただく機会になったというふうに考えています。 今回最優秀案の決定をしましたが、これによりまして、新美術館の絵姿をお示しすることができたところです。本提案をもとに、第1級のコレクションを大阪市は所有していますので、それを最大限活用して大阪の魅力を世界に発信する美術館として整備していきます。 また、美術館にとっては、学芸員が持つ知識、経験さらには人的なネットワークが非常に重要であるということは、私も認識しています。そのため、2021年度の開館に向けて、この4月から学芸員の人員体制の強化を図って、例えば、世界的にも有名な海外美術館による大規模な展覧会の誘致など、事前準備にも着実に取り組んでいきます。 運営におけるPFI手法の導入についてですが、来年度、導入可能性調査を実施して、美術館運営の中核を担う学芸員と民間事業者との適切な役割分担について、しっかり検討を進めていきます。 さらに、今後の設計業務についても、現場で働く学芸員の皆さんの意見を取り入れて、さらなるブラッシュアップを図って、運営者にとって機能的で、来館者には感動を与える施設というのを目指していきます。 美術、芸術が人々を感動させる力を持っているというのは、これはもう世界共通でありますし、世界の主要都市には、その都市の顔になる美術館があります。新美術館についても、市民が全国に、そして世界に誇れる施設になるように、本市の最重要施策の一つとして取り組みを進めていますし、努めていきたいとも考えています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 続きまして、Wi-Fi環境の整備促進についてお聞きします。 今年度に観光庁が行った調査では、訪日外国人旅行者の約3割が、旅行中困ったこととして、無料公衆無線LAN、いわゆるWi-Fi環境についてあげており、特に公共施設や観光施設におけるWi-Fi環境の普及や利用手続の簡便性の面での課題が指摘されています。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催のみならず、来阪された外国人旅行者の利便性向上のため、通信環境の整備、とりわけWi-Fi環境の整備は非常に重要であります。しかしながら、観光局が進めるOsaka Free Wi-Fiについては、平成28年度に年250カ所以上の設置を目標としていたにもかかわらず、昨年11月末時点で91カ所の整備にとどまっています。ホテルなどの民間宿泊施設、観光拠点や観光案内所、地下鉄駅などの公共交通機関におけるWi-Fi環境の整備を一層促進し、観光地の機能向上や利便性向上を図るべきであり、そのことにより、来阪者のさらなる増加にも大きく貢献するものと考えます。 一方、Wi-Fi環境の整備は、防災拠点となる公共施設の災害時における通信手段の確保としても重要です。公共施設における市民の利便性向上として、Wi-Fi設置をこれまで要望してきましたが、設置数は公共施設276カ所のうち、1年間で21カ所しか増加しておらず、今年度末でも、わずか42カ所しかありません。設置箇所拡大のスピードは、余りに遅い。 整備計画を立てて推進していくべきだと考えますが、市長の御見解をお聞きします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 昨年1年間の訪日外国人旅行者数は2,400万人を超えて、大阪を訪れる外国人の旅行者数は5年前と比べて、約6倍の941万人になっています。急増します外国人旅行者の受け入れ環境の整備は、今後、大阪の魅力を高めてリピーターをふやしていくというためにも非常に重要だと思っています。その一環として、Osaka Free Wi-Fiの整備を、今、進めています。 関西広域連合が、平成28年10月から運用開始しましたKANSAI Free Wi-Fiとの認証連携によりまして、Osaka Free Wi-Fiの利便性は、今、さらに高まっています。これまで、Osaka Free Wi-Fiの拠点数の増加を目指して取り組んでいまして、今後とも、引き続き大阪観光局と連携して、それらを含めた外国人旅行者の受け入れ環境を整えていきたいと思っています。 あわせて、地下鉄駅については、大手通信事業者によるWi-Fi環境の未整備駅を3年程度で解消できるよう、各事業者と協議を行わせていきます。 また、公共施設における市民向けのWi-Fiとして、今年度、図書館については、ノートパソコンを使った調べ物などの利用が考えられることから、全館設置完了する予定です。その他の施設については、施設の利用目的に照らして、ニーズを調査して計画を立てて進めていきたいと思っています。 防災の観点ですが、大規模災害発生時には、通信事業者が公衆無線LAN環境を無料で開放していただけるということとあわせて、臨時Wi-Fiスポットなどの支援をスムーズに受け入れられるように、事前の調整を行うなど、通信事業者との連携を図っていきます。 いずれにしましても、大阪観光局が進めているOsaka Free Wi-Fiの取り組みをサポートするとともに、通信事業者とも十分連携しながら、Wi-Fi環境を整備していくよう努めていきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 未整備駅に関しては、3年程度で解消すると御答弁をいただきましたが、防災の観点から、公共施設の整備も重要ですので、迅速な対応を望みます。 次に、スポーツの振興についてお聞きします。 2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会まで、あと3年半となりました。東京大会の成功の鍵はパラリンピック大会と言われ、今後、この大会の関心が高まっていくことは、共生社会実現のために非常に意義があります。 来年から5年間を期間とする本市スポーツ振興計画が策定されます。基本理念に「スポーツが心の豊かさを稼ぐまち 大阪」を掲げ、目標として、週1回以上運動・スポーツを実施する成人の割合を65%にすると聞いています。また、多面的なスポーツ・運動の価値を認め、社会課題を解決するため、スポーツを生かしていくという考え方は評価できますが、4年前の調査では37%であり、今後、障害のある人とスポーツのかかわりを含め、さまざまな施策を実施していく必要があります。 本市には、日本で最初に建設された長居障がい者スポーツセンターがあり、長居から障害者スポーツが広まったと言っても過言ではありません。また、舞洲障がい者スポーツセンターがボッチャ競技のナショナルトレーニングセンターとなり、定期的に代表チームが活動する拠点となっています。 今後、東京大会に向け、このすばらしい施設の活用やパラリンピックを目指すアスリートの支援について、スポーツ振興計画にも位置づけながら取り組んでもらいたいと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 長居障がい者スポーツセンターと舞洲障がい者スポーツセンターについては、利用されてる方も、非常にこれは必要だというふうな御意見、そして、私も実際にそこに視察も行きまして、非常に有用性が高いというふうに認識しています。オリンピック・パラリンピックの担当大臣、それからスポーツ庁の長官がいらっしゃったときにも、この両施設については、御案内したところであります。 パラリンピックを目指すアスリート支援について、東京大会の成功というのは、障害者の自立や社会参加を促すことに加えまして、高齢者の皆さんも含めた健康長寿、ユニバーサルデザイン化による共生社会の実現のための試金石だというふうに認識しています。また、その効果についても全国に波及されるものであるというふうに思っていますので、大阪からもこのパラリンピックの成功に向けて貢献していくことが必要だと思っています。 現在、舞洲障がい者スポーツセンターでは、パラリンピックの競技でありますボッチャのナショナルトレーニングセンターの指定を受けました。選手強化を大阪市も支援しています。ボッチャは重度の障害のある選手も活躍できる競技でありまして、昨年のリオパラリンピックでも、日本チームは銀メダルに輝いたということであります。さらなる活躍に向けて、大阪市も貢献していきます。 また、協賛企業を初め、多くの方々の協力をいただきまして、毎年2月に開催しています国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会、これは私も先日参加しましたが、日本チームが世界の強豪チームと対戦できる貴重な経験でありますし、今後も大会を継続し、支援していきたいと思っています。 東京大会を目指す、大阪にゆかりのあるパラリンピアンを支援していく取り組みということについては、諸課題はありますものの、パラリンピックの舞台で大阪の選手が活躍する姿は、オリンピック同様に、必ず市民に夢と期待を与えることになるというふうに思ってますので、現在策定中のスポーツ振興計画にもしっかり織り込んで、実現に向けて取り組んでいきます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) パラリンピックを目指すアスリートに活躍してもらうため、実現性ある支援策の織り込みを要望しておきます。 次に、待機児童対策についてお聞きします。 市長は、平成30年4月までに待機児童ゼロを達成するとし、今回の予算案では、認可保育所等の整備目標数が大幅に増加し、予算額が3倍に増額され、その意向が反映されたものと考えています。その予算案では、待機児童の約9割を占める2歳までの低年齢児を対象とした地域型保育事業、いわゆる小規模保育事業所についても88カ所という、これまでにない整備数を掲げています。 しかしながら、小規模保育事業所の開設に関しては、保育連携の課題にもしっかり目を向けるべきです。小規模保育事業所では、認可基準として求められている卒園後の3歳児の受け皿とする連携施設の確保が、市内で122園ある事業所のうち、現時点ではわずか34園しかできていません。この連携施設に関しては、平成32年3月末までは経過措置があるものの、それ以後は確保できていない場合、認可ができなくなりますが、現状から市内の全ての事業所が経過措置期間中に連携施設を確保できるとは思えません。大阪市として、連携施設確保に向け、今後どのように進めていくのか、市長の考えをお聞きします。 また、ゼロ歳から5歳の保育環境を本来あるべき認可保育所の整備によりしっかりと確保できれば、連携施設の課題も生じず、保護者の安心にもつながります。市長が、予算案において、市有財産を活用する方針に転換されたのであれば、我が会派が以前から要望していた公園を活用した認可保育所の整備に積極的に取り組むべきだと考えますが、あわせて、市長の考えをお聞きします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 待機児童対策につきましては、市政の最重要課題の一つとして、目標とします平成30年4月の保育ニーズ量を確保するために、これまでも認可保育所の整備には積極的に取り組んできたところです。 しかしながら、昨年4月の待機児童数は減少傾向から増に転じましたし、これまでの経過を見ても、通常の価値観、判断では待機児童は解消できないだろうと思うに至りました。私が議員時代も平松市長が待機児童ゼロを目指すというふうにおっしゃってましたんで、公約に掲げられてましたけども、僕が議員のときに質疑したら、「役所の中に入って思ったけど、待機児童ゼロは無理です」というふうにおっしゃいました。僕自身も市長になって思うんですが、待機児童が生じる仕組みというのを考えると、そういうふうに答弁したくなる気持ちは非常によくわかりますし、確かにニーズをふやせばふえる。さまざまな課題があるところだと思いますが、僕自身は、平成30年4月に待機児童ゼロを目指してやっていく。そのためにどうすればいいかということで、今回取り組みの予算を立てました。 昨年7月に待機児童解消特別チーム、これも私をトップとして立ち上げまして、待機児童の多い区の区長も参画して、さまざまな御意見もいただきました。そして、民間の不動産事業者も含めたさまざまな人の意見も踏まえて、対策の検討を行ってきました。その特別チームの会議の中で、今回、予算で提案させていただきますさまざまな案があるわけですが、3歳児の受け入れの連携についても議論になりました。都市公園の活用についても議論になりました。この検討内容については、今回の平成29年度予算案にできる限り盛り込んでいます。 地域型保育事業所の連携施設の確保の課題についてですけども、卒園した3歳児の入所先について、受け入れ先の連携施設が確保できるように、支援事業の強化、これを図っていきます。加えまして、小規模保育事業所での3歳以上児の受け入れについて、これも具体的に検討するようにということをこども青少年局へも指示しています。 また、認可基準上の連携施設のあり方については、連携施設がないことをもって認可を取り消されることが起きないようにしなければなりませんので、国への制度改善の要望をするなど、大阪市として、きちんと対策を講じていきます。 都心部における保育所用地の確保については、予算案において、さまざまな支援策も打ち出していますが、そのうちの一つであります都市公園の有効活用については、これは現在あります特区制度に加えて、今、国会で法律の改正案が審議されています。今後、区役所と連携し、そして、地域の皆さんの御理解も重要なところだというふうに思いますので、そこの御理解もいただきながら実現していきたいと考えています。 平成29年度予算案で打ち出した新たな待機児童対策によって、目標である平成30年4月の待機児童ゼロに向けて、全市一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いします。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 一般質問の中でも答弁があったとおり、平成30年4月に待機児童を解消すると再度確認いたしました。 続きまして、教育施策についてお聞きします。 本市会で、今後4年間の教育の方向性を定める教育振興基本計画の変更案が上程されましたが、現在、国においては、次期学習指導要領の改訂に向けた議論が進んでいます。新しい時代に必要となる資質・能力をより主体的、実践的な点に求め、これをアクティブラーニングや社会と共有した目標を持ったカリキュラムによって実現していこうという方向性です。これを実践していくためには、幼稚園から高等学校までの一貫した取り組み、教育を担う教員一人一人の資質の向上、授業改善など、計画的で長期的視点を持った取り組みが必要となってきます。 しかしながら、本市におけるこれまでの学力向上施策は、目の前の課題解決に向けた対症療法的なものが多く、計画的で長期的な取り組みとなっていないと思います。教育委員会の中立性と継続性を発揮して、長期的な視点で取り組まないと、全国と比べて取り組みがおくれてしまうのではないかと危惧しています。 また、教員の資質向上には、教員一人一人にその意識を持たせ、自身の指導力の向上に取り組んでもらうことが欠かせません。そのためには、校長に権限を委ねて競わせるといった突き放した姿勢ではなく、教育委員にもっと学校現場の方向を向いてもらって現場の取り組みを支援するという一体感も必要です。 次期学習指導要領が求めるような授業改善を学校現場に求めるだけではなく、例えば大学と連携して養成段階から一貫した育成に取り組んだり、教員のライフサイクルに応じた研修体系を再構築するなど、より広く長期的な視点に立って、教育委員会は対応を検討していくべきです。 次期学習指導要領の準備段階である来年度から、どのように取り組むのか、教育長の御見解をお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 山本教育委員会教育長。     (教育委員会教育長山本晋次君登壇) ◎教育委員会教育長(山本晋次君) 次期学習指導要領におきましては、その枠組みが大きく見直され、学ぶ内容を示すだけではなく、子供たちが身につけるべき資質・能力や学ぶべき内容、学び方の見通しを示すものとなっております。 今後、新しい教育課程の考え方について理解を深め、各学校が次期学習指導要領の理念を実現するために、適切な教育課程を編成していくことが求められております。また、教員には、主体的、対話的で深い学びを実現するための授業改善などに必要な力が求められているところでございます。 教育委員会としまして、新しい教育振興基本計画に基づく今後4年間を教育改革の第2ステージとして位置づけ、子供たちにじかに響く施策について、スピード感を持って取り組むとともに、教育を支える人材の育成や指導内容の改善といった取り組みにつきましては、いただきました御指摘を踏まえ、計画的、長期的な視点を持って取り組んでまいりたいと考えております。 次期教育振興基本計画におきましては、授業改善など教員に求められる指導力の高度化への対応を取り組むべき課題とするとともに、幼児教育から高等学校教育までの各段階に応じた切れ目のない連続した取り組みにより、子供たちが自分の人生を切り開いていくために求められる資質・能力を育むことを最重要目標として、学校現場の意見も反映しながら取り組んでいくことを記載しておるところであります。 また、教育委員会といたしましては、学習指導要領の改訂を受け、来年度より、本市における教育課程の編成の方向性を示しました教育課程編成要領の作成に取りかかり、各校に示し、研修会等を通じてその周知を図ってまいりたいと考えております。 さらに、教育公務員特例法等の一部改正を受けまして、次期学習指導要領の実施に向け、教員に求められる力を効果的に育成できますよう、大学と連携し、協議会を立ち上げ、教員の資質の向上に関する指標の作成、また、その指標を踏まえた教員研修計画の策定にも取り組んでまいりたいと考えております。 今後も、教育委員会といたしまして、スピード感と長期的、継続的な視点をあわせ持って、これからの時代を生き抜く子供たちに必要な資質・能力が育成されますよう、市長との適切な役割分担のもと、取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) ただいま教育長から教育委員会の役割として、長期的な視点から教員の資質の向上に取り組むとの答弁がありました。 教育は継続的な営みであるため、政治的な変化により、その基盤となるところが急激に変化してしまうことは望ましいことではありません。教育委員会には、広い視野と長期的な視点で学校現場をしっかりと支援する役割を果たしてもらいたいと思います。 一方、本市においては、平成24年に定められた教育行政基本条例により、教育振興基本計画策定における首長の関与が明確にされ、市長が教育の目標や施策の大綱を教育委員会と協議して定めるとされました。計画に盛り込まれている幼児教育については、これまで我が会派から、その充実を求め、早くからその核となる幼児教育センターの設置を要望してきた結果、4月に開設されることになりました。市長も昨年の代表質問において、幼児教育の重要性について認識をともにしているとの答弁をされたところです。 教育振興基本計画の変更案は、このような市長の思いを反映したものとなっていると思いますが、策定に当たって、どのような思いを込められたのか。また、先ほど教育長からの答弁にもありましたが、この計画を実行していくに当たって、市長は、教育委員会にどのような役割を求めているのか。市長は、この計画の実行を予算面で支えていくことになると思いますが、市長の果たすべき役割をどのように考えるのか、お聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) まず、現代は非常に高度化し、国際化し、グローバル化するという、これからさらに荒波の時代になってくると思います。中国、それから近隣の東南アジア諸国も力をつけてくる、その中で大阪の子供たちが力強く生き抜いていく力を身につけることが、何より教育において大事だというような認識を持ちまして、それは最重要課題の一つとして今回組み込むことができましたが、まずは、そこの生き抜く力、学力・体力の向上ということを反映させることができました。 それから、特に幼児期において、これまで預ける場所という認識が多かったですけども、そうじゃないと。幼児教育、まさに人格を形成する初期のときに、お受験ではない就学前の幼児教育、人格形成の基盤を担う幼児教育を充実させることが、非常に重要であるという認識も、今回の基本計画の中に組み込まれたというふうに思っています。資本主義社会なんで経済格差は生じますが、できるだけ経済格差が教育格差にならないようにということを踏まえて進めてまいりました。 それから、政治的中立性が問題だということが、この条例制定の中でも議論されてきましたし、私もその場にいましたので、みずからの政治的な思いというよりは、大阪の将来にとって何が子供たちに大事かという視点で、今回の教育基本計画について、みずからの意見を出してきたところであります。 それからもう一つは、机の上でのお勉強の前に大事なのは、やっぱり学校が安全で安心な場所であること。いじめについては絶対に許さないと、いじめはなくならないかもしれませんが、早期に認知して、すぐに対応できるようにという、安全・安心というところも今回の基本計画に盛り込むことができたというふうに思っています。 大事なのは、絵に描いた餅で終わらせないということが大事です。ですので、何が一番大事かと、僕はそこが一番大事だというふうに思っておりまして、評論家ではありませんので、いかにそれを学校現場で実行していってもらうか、それが何より大事。その支援策というか、その施策について実行していく必要があると思っています。 市長という立場から、総合教育会議に入っていますから、それを現に実現していきたいとも思っていますし、予算面が何より一番大きく与えられた強い権限だというふうに認識していますので、そういった教育環境を提供する面を予算面においてしっかりと支援して、将来の大阪の子供たちが力強く生き抜いていけるような、そんな環境づくりをつくっていきたいと。この計画を実効性を持ったものにしていきたいというふうに思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、高齢者施策のうち、まず、認知症施策の強化についてお尋ねします。 国の推計値をもとにした本市の認知症高齢者数は約10万人に上り、これは実に高齢者の7人に1人に当たる人数です。このうち、介護保険サービスを利用していない潜在的な認知症高齢者は約3万5,000人と推計されています。今後、確実に増加が見込まれる認知症高齢者の地域での生活を支えるためには、地域包括ケアシステムが重要であり、これまで我が会派としては、地域包括支援センターを現在の高齢者人口1万人に1カ所から、中学校区ごとの設置を提案してきました。 一方、本市のひとり暮らし高齢者世帯は42.4%と政令市の中では最も高く、そのような方が認知症になっても気づかれないまま病状が進行すると、支援が事後になってしまうということが多いと思います。その結果、入院や入所が長期化する傾向にあるため、認知症は、早期発見、早期診断、早期対応が非常に重要であります。このために、医療と介護・福祉の専門職が認知症の初期の方を訪問し、早い段階から必要な医療や介護サービスにつないで、できる限り住みなれた地域で生活を送れるように支援を行う認知症初期集中支援チームの取り組みを我が会派としても推進してきました。 本事業は、他都市に先駆けて、平成26年度から段階的に取り組み、今年度からは市内24区全てに認知症初期集中支援チームを配置、1チーム当たり100人の支援目標数を定めています。 しかしながら、今年度の支援対象者数は、目標のわずか半数とのことですが、今後どのように取り組まれるのか。また、今後さらに認知症高齢者が増加すると見込まれる中、認知症対策はますます重要な課題となってきますが、本市の今後の認知症施策をどのように推進されるのか、お伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 僕は、高齢者施策について、この認知症対策というのは最も重要なことなんじゃないのかなというふうに思っているところであります。大阪市は4人に1人が、今、高齢者ですけれども、単身の高齢者の方が非常に多いと。そして、その高齢者の増加率というよりも、実は、大阪における認知症の高齢者の増加率のほうが高いということです。ですので、今後何もしなければ、認知症の方がますますふえるということになるというふうに思っています。認知症が進行すると、まさに御本人において、豊かな生活をするということについての足かせにもこれはなりますし、介護者の方の負担も非常に大きいです。認知症は早く発見して、早期の対応をすれば進行を抑えられるというものでありますので、早期発見、早期対応は非常に重要です。 そういった観点から、アウトリーチの手法で、専門職チームが認知症の初期の方を訪問して必要な支援につなぐ認知症初期集中支援チームの取り組みを、今年度から全区へ拡充配置したところです。結果、支援が必要なひとり暮らしの高齢者の発見であったり、支援対象者の9割の方が在宅での生活が継続できるといった、着実に成果は上がってきているというふうに思っています。ただ、支援者数というのは、今年度の目標数には達していません。地域ネットワークの活用等によって、潜在的な認知症の方を早期発見して、支援につなげる取り組みをさらに強化することが必要だと思っています。 そういった観点から、平成29年度からは、チームを配置します各区の地域包括支援センターを認知症強化型地域包括支援センターと位置づけます。現行の職員に加えて、医療または介護もしくは福祉等の専門職であります認知症施策推進担当を新たに配置します。それとともに、働く介護者の相談にも応じるため、相談対応日は土曜日までに広げていきます。 また、スマートフォンでも利用できます認知症アプリ、これを開発して、認知症の予防であったり、早期発見、早期対応に関する情報の普及・啓発活動を図っていきます。認知症高齢者への見守りネットワークの充実を図る、そういったこともやっていきたいと思っています。 認知症になっても、安心して暮らせるまちづくりを目指していく。それから、認知症にできるだけ早期で対応する。認知症対策に対するレベルを高めていくということが、本市の高齢者施策、認知症施策にとって、非常に重要だという認識を持っていますので、強力に進めていきたいと思っています。
    ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、認知症施策を進める上で、極めて重要な位置づけである弘済院の建て替えについてお伺いします。 市会の平成25年の附帯決議を受けて、建て替え後の新病院は、独立行政法人大阪市民病院機構への移管に向けて準備されていますが、我が会派は、弘済院附属病院の建て替えに際しては、医療・介護の専門機能を継承するだけでなく、臨床研究、人材育成や情報発信の機能をさらに充実させ、その役割を果たせる全国屈指の拠点施設となるよう要請してきました。 また、先ほどの質問でも指摘したように、認知症対策がますます重要な課題となってくる中、大阪市立大学においては、認知症の診断治療法の確立に向けた研究、新薬の効果分析などに取り組んでおり、昨年4月に学際的な脳科学研究の促進を主な目標とする脳科学研究センターを設置されました。さらに、認知症も含め、健康寿命の延伸など、都市課題を積極的に研究し、本市の都市シンクタンク機能の強化を図り、その成果を市民に還元する取り組みを進めるとのことであります。 新病院が求められている機能や役割を十分に果たせるようにするためには、市立大学へ移管することも検討すべきではないでしょうか。市長の見解をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 弘済院附属病院の建て替えについてですけども、先ほども答弁しましたが、認知症への対策、これは、非常に重要だというふうに認識しています。認知症になっても安心して暮らせるまちづくりを目指していくと、認知症の早期対応をできるだけ行っていくと、認知症に対するあらゆる施策を推進していきたいというふうに考えています。弘済院の附属病院につきましても、建て替えを機に機能面の充実を図っていかなければならないと思っています。 一方で、市立大学ですけれども、これまで弘済院の附属病院との共同研究とか、医師の人材の確保とか、そういった連携の実績はあります。建て替え後の運営についても、当然協力は不可欠になってきます。 この市立大学は、先ほど議員からも御指摘がありましたが、認知症の研究については非常に最先端を行っておりまして、高いレベルにあります。この市立大学が持つ医療技術をまさにどうすれば最大限発揮することができるかということを考えると、連携ということもありますが、むしろ市立大学が主体的にかかわるということによって、この弘済院の新病院が認知症対策のまさに拠点になる。これは大阪市だけじゃなくて大阪全域、認知症で困られている方にとって、非常に高い機能を発揮する場所、施設、病院になるのではないかというふうに思っています。 こういった観点から、附帯決議によりまして、弘済院については大阪市民病院機構へ移管するということになってますが、市立大学への移管についても十分選択肢になると思っています。この弘済院が、まさに新しい弘済院が認知症対策の大阪の中心的な拠点、まさに近畿の最高レベルの拠点になっていくということにしていきたいと思ってますし、そのために課題もありますが、関係先との協議を進めて、市立大学への移管というのも選択肢に含めて検討したいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、特別養護老人ホームの整備についてお伺いします。 特養の待機者解消については、我が会派では以前から重要課題と位置づけ、早期解消に向け取り組んできたところであり、特養の整備に当たっては、我が会派の提案により、第5期計画において第6期計画の整備分を前倒しして整備してきました。そして、現在、第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、平成29年度末までの整備目標を1万3,600人分とし、現在、予定どおり整備を進めており、これにより待機者は解消できるとのことです。 2025年問題と言われる団塊の世代が全て75歳以上となるそのときに、特に都市部において75歳以上の人口が急速に増加すると言われており、本市においても例外ではありません。また、本市では、単身高齢者世帯の割合も高く、要支援・要介護認定者数についても、平成24年度から平成28年度の4年間で20.7%増と、高齢者の伸び以上に増加しており、認知症の方も増加する中で、今後も特養のニーズはふえていくと思われます。 第6期計画では、必要性、緊急性の高い方がおおむね1年以内に入所できるよう、特養の整備目標を立てて整備を進めてきましたが、今後さらにふえてくる特養のニーズを踏まえた次期計画を策定すべきだと考えます。また、要介護1・2の特例入所の方も含め、特養の入所を1年以内に希望される方のうち、8割弱の方が半年以内の入所を希望されているということでございます。少しでも早く入所したいと思っておられる方が大勢おられます。これらのニーズに応えられるよう取り組むべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 特養の整備計画についてですが、現在、本市では第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画において、必要性、緊急性の高い入所申し込み者がおおむね1年以内に入所することができることになるように、要介護認定者数の伸びや介護老人保健施設などさまざまな施設、居住系サービスの整備状況も勘案しながら、特養の整備を進めています。平成29年度末には、整備目標の1万3,600人分が完成する見込みであります。特養の待機者は解消されるものと考えています。 また、今後も高齢者人口の増加に伴いまして、要介護認定者数もふえて特養の入所希望者も増加すると思われます。このため、特養の整備は2年程度を要しますので、第7期計画に先立ちまして、平成30年度完成分として、平成29年度に267人分の整備に着手していきます。 平成29年度に策定します第7期計画においては、認知症の方の増加に伴う要介護1・2の特例入所に該当される方の伸びも勘案して、必要性、緊急性が高い方が、引き続きおおむね1年以内に入所できるよう整備を進めていきます。また、その必要性、緊急性が高い方で、6カ月以内の早期入所を希望される方のニーズについても十分検証しまして、次期計画における整備目標に反映していきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 必要性、緊急性において逼迫された多くの方が、半年以内での入所を希望されていますので、実現を望みます。 次に、障害者施策についてお尋ねします。 障害者施策においては、施設に入所されている方の地域生活への移行が重要な課題となっています。大阪市では、障がい者支援計画・障がい福祉計画において、平成27年度から29年度末までの地域移行者数238人という数値目標を掲げて取り組んでいます。しかし、施設に入所されている方やその御家族の多くは、地域で暮らすために必要な福祉サービスや体制の不安を抱え、本当に地域移行ができるのか、心配されていると思います。施設に入所されている方は、重度の障害があり、長年施設で暮らしてこられた方々も多くおられることから、地域移行は単に施設から出ていただくだけの取り組みではなく、相当の時間をかけて地域での生活づくりを支援していく必要があります。 地域生活への移行は、住まいや日中活動の場を確保することや、さまざまな福祉サービスの利用や緊急時の対応など、しっかりと調整しながら進めていくとともに、グループホームの整備、居宅介護や特に要望の多い移動支援等の福祉サービスなど、地域で暮らすための受け皿づくりをさらに進めていくことが大変重要であると考えます。 大阪市では、来年度に障がい者支援計画・障がい福祉計画の次期計画の策定が予定されていますが、こうした課題を踏まえ、障害のある方々のニーズをしっかりと把握し、重度の障害のある方が、地域で安心して生活できる支援の充実を図っていくべきだと考えますが、市長の御見解をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 入所施設等から地域移行する、これは重要な課題でありまして、地域生活支援を進めるための方策であるグループホームの設置促進策を講じながら取り組んでいきます。一方、障害福祉サービスの制度は、障害の状況に応じた内容になってますが、障害の種別や程度、状態によりニーズがさまざまあるということから、こういった多様なニーズへの対応、それから、重度の障害がある方に対する支援策の充実、これが課題になります。 こうした課題を踏まえまして、昨年5月には、障害者総合支援法が改正されて、平成30年4月から障害者の地域生活を支援するための新たな福祉サービスなどが実施されます。本市が昨年12月に実施しました障がい者等の基礎調査におきましても、地域移行を進めていく上で、家族の理解とともに、グループホームなどの充実といった課題が明らかになっています。 このため、来年度に予定します障がい者支援計画・障がい福祉計画の策定に当たっても、議員御指摘の移動支援を初め、当事者のさまざまな意見、これをしっかりと聞いて、重度の障害のある方の生活を地域全体で支えるための受け皿となります社会資源、これを確保するなど、地域で安心して暮らしていただけるよう一層の施策の充実に取り組んでいきます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 家族のニーズを踏まえたきめ細やかなサポートが重要だと思いますので、指摘しておきます。よろしくお願いします。 次に、手話に関する施策の取り組みについてお尋ねします。 昨年1月「大阪市こころを結ぶ手話言語条例」が全会一致で可決されました。議案の上程に当たっては、我が会派の山田議員が、手話で趣旨説明を行いました。 手話は、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報の獲得とコミュニケーションの手段として、重要な役割を担っており、条例は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法の規定を踏まえ、手話が言語であるとの認識に基づき施策を推進するとなっています。市長も、それぞれの施策分野において、この条例の趣旨を踏まえた取り組みを進めていくことが大切であると言われています。施策を総合的かつ計画的に推進するため、条例では、手話に関する施策を推進するための方針を策定することになっており、先般、方針案が取りまとめられました。 今後、方針を踏まえ、本市の各所属がそれぞれしっかりと取り組んでいく必要があり、取り組みを着実に進めていくためには、行動計画など具体的な目標を立てて取り組んでいくことも重要であると考えますが、市長はいかがお考えでしょうか。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 昨年、議員提案で、こころを結ぶ手話言語条例が全会一致で可決されました。議員御指摘のとおり、山田議員が手話で趣旨説明をされているのを私も目の当たりにしております。手話を言語として捉えるということは、非常に必要であるという認識に立ってます。手話を必要とする全ての市民の社会参加を促進して、安心して暮らせる地域社会の実現を目指しています。各所属に対して、条例の趣旨を踏まえた施策を着実に進めて、それが本市の施策全体に広がるよう、しっかりと連携して取り組みを、今、指示しているところであります。 手話は言語だという認識に立って、市民一人一人が、手話についての理解を深めるということも大切でありまして、行政としましても、日常生活のさまざまな場面で、手話を必要とする人が手話を使用しやすい環境づくりに向けて取り組んでいくことが大事です。手話に関する施策の推進方針案については、当事者や手話通訳者など、関係者からの御意見をお聞きして作業を進めてきたところであります。今年度内に方針を策定します。 これまで、手話通訳者の養成や派遣等を実施し、聴覚障害のある方へのコミュニケーション支援に取り組んできたところではありますけれども、新たに策定します方針で、施策の方向性と具体的な取り組みを定めて、手話への理解の促進や手話の普及、ICTを活用した区役所窓口での手話の対応、緊急時の対応の環境整備にも取り組んでいきたいと思っています。 平成29年度は、平成30年度からの次期障がい福祉計画に向けた策定作業を行うこととしておりまして、市民の理解を広げる取り組みや手話による情報取得、意思疎通の支援の充実に向けた取り組みなどについて、市民に見える形で事業量の目標を設定するなど、方針の内容を計画に反映して、手話に関する施策を着実に進めていきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 事業量の目標を設定の上、具体的な取り組みを求めます。 次に、総合的な相談支援体制についてお尋ねします。 少子高齢化の進展や社会状況の変化に伴い家族や地域のつながりが希薄化し、社会的孤立が問題となっている中、必要な支援につながっていない方に対する支援が求められています。 このため、本市においては平成27年度から見守り相談室を設置し、地域における見守り活動の支援や福祉の専門職による個別訪問、また、徘回認知症高齢者への対応などに取り組んでいます。しかしながら、福祉・医療分野の課題は、複雑化、多様化、深刻化してきており、これまで高齢者であれば地域包括支援センター、障害者であれば障がい者相談支援センターといった専門的な相談支援機関で解決できていた課題について、単独の機関だけでは解決できない状況が数多く見られるようになってきています。このような既存の仕組みでは解決できない複合的な課題を抱えた方への支援を行うためには、各機関が連携して取り組む必要がありますが、現在、その仕組みがなく、また、連携を主導する機関には、相当高い知識や経験を求められることから、なかなかうまく進んでいないのが現状です。 本市において、福祉分野だけでも300カ所を超える相談支援機関があると聞いています。それぞれが高い専門性を持って要援護者の支援を行ってきていますが、この豊富な社会資源をより一層活用していくためにも、各機関が連携できる仕組みが必要であると思いますが、市長の御認識をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 団塊の世代が全て75歳以上となります2025年が目前と迫っている中で、社会的な孤立であったり、複雑化、多様化、深刻化します福祉の課題への対応、これは喫緊の課題だというふうに思います。 このため、各区に設置しました見守り相談室において、要援護者情報を整理しまして、地域における見守り活動を支援するとともに、福祉専門職による孤立世帯へのアウトリーチであったり、徘回認知症高齢者への対応策などを実施し、必要な支援につながっていない方を適切な支援へとつなげる取り組みを実施しているところです。 一方で、議員御指摘のとおり、既存の仕組みでは解決できない複合的な課題を抱えた方への対応につきましては、施策ごとの専門的な相談支援機関が連携して支援を行うことが極めて重要です。 このことから、例えば高齢者の相談窓口が、その世帯の障害者や子供の状況などについても把握した上で、適切な支援方法を検討するため、区の保健福祉センターへ必要な機関や地域の関係者の招集を依頼して、それらが連携することで課題の解決を図る仕組みづくりに取り組んでいきます。また、この連携を主導することができる基本的な知識、経験を持つ人材の育成につきましても進めていく必要があります。具体的には、平成29年度に3区で、この取り組みを実施していきます。行政、相談支援機関、地域が一体となって、複合的な課題を抱えた方への支援を行っていきます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 続きまして、国民健康保険事業の平成30年度からの広域化についてお伺いします。 国民健康保険料は、被保険者にとって大きな負担となっていることから、過去、景気の動向等を勘案し、平成21年度から4年間据え置かれてきました。しかし、平成25年度以降は、モデル世帯の収入に対する負担割合を府内市町村並みとなるよう改定がなされ、平成28年度までの4年間で、合計5%引き上げられました。高齢化の進展などによる給付費の増等はあるものの、負担は年々重くなっています。こういった負担増に対して、私は大いに懸念を持っております。 こうした中、平成30年度からの国保の都道府県単位化に当たって、大阪府は標準保険料率を府内統一化すると言っていますが、全国的にも統一化する都道府県は少なく、また、現時点での大阪府の試算によると、保険料が大幅に上がると聞いています。大阪府に対し、保険料負担が重くならないよう要請する必要があると考えますが、市長の御見解をお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 国民健康保険は、その事業運営を保険料と国庫支出金で賄うということが原則でありますが、加入者に高齢者や低所得者が多く、その原則どおりでは保険料負担が大きくなることから、本市の財政は厳しい状況でありますが、多額の市税を一般会計から繰り入れて、負担の軽減に努めています。 また、国民健康保険の保険料は、平成25年度より、受益と負担の適正化の観点から、収入に対する負担割合を府内の市町村並みにするということに改定しています。国保の都道府県単位化については、平成27年5月の法の改正によりまして、国保の財政基盤の強化を図った上で、平成30年度から都道府県が国保の財政運営の責任主体となって、国保運営の中心的な役割を担うことで制度の安定化が図られることになっています。 大阪府においては、府内市町村の保険料は、被保険者の負担の公平性の観点から、大阪府内のどこにお住まいであっても、同じ所得、同じ世帯構成であれば同じ保険料額とするという方向で、検討が今進められています。都道府県単位化に際しては、本市国保の実情も踏まえたものになるように、例えば、多人数世帯の負担への配慮などについて大阪府に要請しますとともに、保険料が急増した場合には、激変緩和措置のための任意繰り入れを検討するなど、市民負担に配慮しながら、円滑な移行に向けて取り組みたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、防災対策についてお聞きします。 昨年12月に新潟県糸魚川市において大規模な火災が発生し、市街地大火の恐ろしさを改めて思い知らされました。こうした火災への対応を含め、防災力の高いまちづくりを進めることは、極めて重要な課題です。そこで、密集市街地の整備についてお聞きします。 本市にはJR大阪環状線の外周部を中心に、約1,300ヘクタールに及ぶ密集市街地が広範囲に存在していますが、これは市域の約6%に相当し、東京都23区に存在する密集市街地の割合約2%と比べると、かなり大きい状況です。 地震などによる火災の延焼や建物の倒壊等といった大きな被害をもたらす可能性のある密集市街地の整備に向け、本市では平成26年度に、重点整備プログラムを策定し、新たな目標やその達成に向けた取り組み等をまとめています。プログラムでは、平成32年度までに密集市街地を構成する21の防災街区の半数以上で解消を目指すとしていますが、現時点では、解消に至った防災街区はないと聞いています。 プログラムに掲げる目標の現在の進捗状況を踏まえ、密集市街地の整備について、今後どのように取り組むのか、お答えください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 密集住宅市街地の整備は、防災力の高いまちづくりを進める上で、重要な課題であります。重点整備プログラムでは、平成32年度までに密集市街地を構成する防災街区の半数以上において、解消の基準であります燃えにくさと逃げやすさのどちらの指標もクリアさせるという高い目標を設定して、各種の施策を今実施しているところであります。 現在の進捗状況としては、2つの指標をどちらもクリアした防災街区はまだありませんが、約1,300ヘクタールあります密集市街地全体では、燃えにくさの指標である不燃領域率が基準を初めて超えたところであります。 今後、引き続き重点的な予算措置も講じながら、地域特性に応じた集中的な取り組みや、地域との協働による取り組みを積極的に実施して、平成32年度に向けた目標の達成を目指していきたいと考えています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 今、平成32年度の目標達成を目指すと御答弁いただきました。よろしくお願いします。 続いて、災害廃棄物についてお伺いします。 我が国では、南海トラフ巨大地震など大規模災害のリスクが高まりつつあります。東日本大震災や熊本地震では、倒壊した家屋等の瓦れきが道路にあふれ、人や車の往来の支障となったことから、市民生活の安全確保や早期復旧・復興には、瓦れきを集め処理するための仮置き場が必要であります。 先日、公表された災害廃棄物処理基本計画素案では、市域で発生する瓦れきの量は、南海トラフ巨大地震の場合1,200万トン、上町断層帯地震の場合1,800万トン、阪神・淡路大震災で発生した1,500万トンに匹敵する膨大な量と想定されていますが、仮置き場となる土地は、最大で甲子園球場約100個分に相当する400万平方メートルが不足するとされています。 全域が、市街化された大都市である本市では、仮置き場となる土地は限られており、十分な解決策が示されていない深刻な事態と言えます。関西広域連合で、瓦れきの仮置き場の確保について協議する場を設けるなど、迅速、円滑な処理のため、近隣自治体との間で一層連携を強める必要があると考えますが、市長の御所見をお伺いします。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 過去の震災を見ましても、復旧・復興には、迅速、円滑な瓦れき処理が重要でありますから、本市では本年度、瓦れきを含めた災害廃棄物処理の基本方針などを定めた災害廃棄物処理基本計画を策定することとしています。 瓦れき処理は、基本的には各市町村に責任がありまして、本市が仮置き場を確保し、分別や災害復興資材への再生などを行うことになりますが、市域では対応し切れない量が発生した場合には、近隣自治体に協力を依頼しなければなりません。平時からの連携強化が重要であります。 関西広域連合では、これまで関西防災・減災プランを作成して、大量に瓦れきが発生した場合、早期処理に向け、被災した市町村を支援することにしていますが、本市の状況を踏まえ、関西広域連合における仮置き場の確保に向けた連携強化を進めていきます。 また、本市が策定する計画をもとに、環境省や関係団体へも十分連携ができるよう働きかけて、災害廃棄物処理に万全を期していきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 次に、無電柱化についてお聞きします。 大阪市では、都市防災機能の向上や都市景観の向上などの観点から、幹線道路を中心として無電柱化に取り組んできており、大阪市内の無電柱化の進捗率は、直轄国道を含めて33%と聞いています。市の管理する道路に限っていうと、残る計画は約570キロメートルあるとのことです。平成29年度予算では、無電柱化の予算は約7億6,000万円、距離にしてわずか約2キロメートルであります。たとえ、幾ら事業ペースを上げたとしても、大阪市内の幹線道路を100%無電柱化するだけでも100年以上かかることになります。 一方、外国では無電柱化はかなり進んでおり、2025年の万博の最大のライバルであるパリでは100%となっていると聞いております。都市魅力の向上の観点からも無電柱化は重要であり、パリに引けをとらないほどのまちにするという気概を持って無電柱化を進めていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 また、昨年の12月に無電柱化の推進に関する法律が制定されたところです。大阪市としても、国の方針を受けて、平成29年度中には無電柱化推進計画を策定して、もっとペースを上げて無電柱化に取り組むべきだと考えますが、市長の御見解をお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 本市におけます電線類の地中化事業は、国において昭和61年度から始まった電線類地中化5カ年計画に合わせて事業計画を立てて、本格的に取り組んできました。これまでは、防災性の向上に主眼を置きまして、道路管理者であります建設局が中心になって、主に幹線道路において事業を進めてきていますが、歴史的、文化的資産を有する町並みの再生・活性化、新たな町並みの個性を引き出すことを目的として、現在は観光、魅力向上のための歴史、文化的な町並みを創出する事業として、船場地区で無電柱化や周辺景観との調和をした道路整備を進めているところです。こういったふうに、大阪の成長に向けた都市魅力創造といった社会ニーズの変化にも合わせて、都市魅力向上の観点からも、無電柱化について重要だと思っています。 昨年12月16日に無電柱化推進に関する法律が施行されました。法律では、地方自治体に対して、この無電柱化推進計画を策定する努力義務がうたわれています。そのため、今春に示される予定と聞いていますが、国の無電柱化推進に関する方向性を踏まえて、無電柱化推進計画を平成29年度中に策定して、これまで以上にスピード感を持って無電柱化事業を進めていきたいと思います。 また、多額の整備費が必要になることも事実ですので、予算措置を含めて、国への働きかけを行っていきますとともに、沿道住民の理解、民間開発時の協力を求めながら、広く事業を推進していきたいと思ってます。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 29年度予算で示されたペースでは遅々として計画は進みませんので、ペースアップが不可欠です。 最後に、総合区制度についてお伺いします。 先月の大都市・税財政制度特別委員会で確認した総合区の検討スケジュールとしては、まず、今年度中に区割り案を作成し、事務レベルと区割り案をもとに検討を進め、8月ごろには素案をとりまとめ、その内容について周知するとのことでした。 今年度、意見募集・説明会を行い、住民の声を聞きながら検討を進めてこられましたが、我が会派としましては、住民への周知はまだまだ不十分だと考えています。市民の方は、生活にどのような影響があるのかに関心を持っており、区割りや区役所の行う事務など具体的な姿が公表されれば、市民の方の関心がより高まり、議論になると思います。総合区の素案については、議会で十分に議論したいと考えていますが、あわせて、市民の方にもきちんと説明していかなければならないと考えています。 来年度、広報を予定されていますが、丁寧に時間をかけて、市民に説明すべきだと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。 ○議長(木下誠君) 吉村市長。     (市長吉村洋文君登壇) ◎市長(吉村洋文君) 8月ごろに総合区の素案を取りまとめるということにしています。早急に検討を進め、総合区の姿をきちんとお示ししたいと考えています。この素案が取りまとめられれば、議会にお示しし、十分に御議論いただきたいというふうに考えています。 総合区の姿について、住民に御理解いただく必要性は十分に認識しています。議会での御議論も踏まえて、住民への説明については丁寧に時間をかけて対応していきたいと思っていまして、どういう方法が具体的にいいかについては、今後、十分検討していきたいと思っています。 ○議長(木下誠君) 杉田忠裕君。     (52番杉田忠裕君登壇) ◆52番(杉田忠裕君) 住民の理解は非常に重要ですので、徹底した住民説明をお願いしておきます。 以上、市政各般にわたり質問をさせていただきました。吉村市長におかれましては、就任2年目を迎えられ、しっかりと覚悟と責任を持って市政運営に取り組んでいただきたいと思います。 我が会派としましても、今後の大阪市の発展に向け、是々非々の立場から真摯な議論を積み重ねていくことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)     (傍聴席で発言する者あり) ○議長(木下誠君) 傍聴人に申し上げます。傍聴席での発言は、かたく禁止されておりますので、静粛に傍聴願います。 ◆21番(川嶋広稔君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明2日午前10時より会議を開かれることを望みます。 ○議長(木下誠君) 21番議員の動議に御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(木下誠君) 御異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 △閉議 ○議長(木下誠君) 本日の日程は以上で終了いたします。 △散会 ○議長(木下誠君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後4時27分散会    ---------------------------------          大阪市会議長          木下 誠(印)          大阪市会副議長         加藤仁子(印)          大阪市会議員          岩崎けんた(印)          大阪市会議員          武 直樹(印)◯大阪市会(定例会)会議録(平成29年3月1日)(終)...